2020 年 11 巻 2 号 p. 31-35
エネルギー資源の多くを海外からの輸入に頼る日本では,中長期にわたり,燃料の調達価格に不確実性が存在する.また,輸出国側の地政学的な要因により,資源の産出量と輸出量が大きく変動するおそれもある.さらに,海上輸送では航路上の沿岸国での緊張の高まりや海賊の出没など,輸送自体にも不確実性が存在している.本講演では,不確実性下の国際的なエネルギーサプライチェーンを考え,VaRを用いて資源の輸入量を決定する問題や,その輸送手段を決定する問題を紹介する.さらに,海上輸送における不確実性の例として,航海距離や航海時間を船舶AISデータを用いて評価した結果も紹介する.