抄録
【はじめに】近年,喘息発作時の治療は予防として生活環境の整備,予防・対処療法として薬物療法,日常からの鍛錬療法が行われている。喘息発作時の小児は成人に比べ,発作時の対処能力が未熟なため,パニックに陥りやすく,体位を頻繁に変え,乱れた呼吸パターンをコントロールする事ができない。そのため理学療法士の役割として,リラクゼーションの指導が必要であり,その1つとしてresting positionがある。そこで,今回,喘息キャンプに参加し,喘息発作時のresting positionの肢位と指導者の有無についてアンケート調査を実施した。【対象と方法】2002年,東京都某2区の喘息キャンプに参加した小学3年生から中学3年生の喘息児(平均年齢11.6歳),A区35名,B区40名,男子38名,女子37名,計75名にアンケート調査(複数回答可)を行った。75名の喘息発作の重症度は中等度の患児が2名,軽度の患児は73名であった。_丸1_姿勢の図7つを提示し,自分のとるresting positionがあるか。また,なければどのような姿勢をとるか。_丸2_そのresting positionは誰かに指導されたものか。_丸1_,_丸2_それぞれを問診した。【結果】_丸1_側臥位でのファーラー肢位24名(29%),前方にもたれた椅子座位19名(23%),緊張した(背もたれによりかからない)座位6名(7%),背もたれにもたれた座位8名(9%),前方にもたれた立位4名(6%),prone sitting3名(3%),後方にもたれた立位3名(3%),その他10名(12%)であった。また,発作が数年ないのでわからないという者が8名(8%)いた。_丸2_resting positionを指導されていた者はわずか5名(7%)であり,その振り分けは母親が3名,幼稚園の保母が2名であった。残りの70名(93%)はresting positionを指導された事がなかった。指導を受けていない患児の傾向として,風邪をひいた時や明け方に発作の多い患児は側臥位でのファーラー肢位をとり,また,運動で誘発される患児は立位,前方にもたれた椅子坐位をとっていた。【まとめ】75名の喘息キャンプに参加した患児は喘息発作時の姿勢に近いresting positionをとっている。また,そのresting positionは誰かに教わったものではなく,自己の喘息発作の経験に基づき自然に自分で対処していることがわかった。しかし,喘息発作を対処するのに効率の悪い姿勢をとっている患児やそれを母親に指導されている患児もいた。これらの原因として,理学療法士や他の医療従事者が患児に直接resting positionを指導する,また,保護者に正しいresting positionを指導する場面がほとんどない事が示唆できる。小児が喘息発作時の対処能力をより習得するためにはどの肢位でもパニックコントロールを理学療法士が複数のresting positionを指導する必要がある。