抄録
〔目的〕平成15年11月8日から11月10日に第3回全国障害者スポーツ大会が静岡県で開催される。静岡県では平成12年度から陸上競技をはじめとする選手強化育成事業が開始されている。静岡県は障害者スポーツセンターが設置されていない県である。候補選手の練習会場はまだ不十分であり,練習会場の確保が課題となっている。障害者スポーツの普及や障害者の健康管理においても地域のスポーツ関連施設の役割は大きいと考え,静岡県内のスポーツ関連施設での障害者の受け入れ状況を調査し,今後の障害者のスポーツ環境を検討する。〔対象と方法]平成14年 9月15日から10月15日に静岡県内にあるスポーツ関連施設 356施設に対して1.施設で一般に実施している内容2.障害者の利用状況3.利用してきた障害者の障害内容4.現在の障害者が利用できるスポーツ関連施設と障害内容5.将来、障害者が利用できるスポーツ関連施設についてアンケートで調査した。〔結果〕 回答の得られたスポーツ施設の数は177施設で回収率は49.7%であった。1.施設で実施している内容は主として水泳(75施設42.4%),筋力トレーニング (66施設37.2%),エアロビクス(59施設33.3%)である。2.障害者が利用してきたスポーツ施設の数は 113施設68.3%であった。3.障害内容は,肢体不自由者で車椅子不使用者(92施設81.4%),車椅子使用者(62施設54.9%),視覚障害者(35施設31.0%),聴覚障害者(64施設56.7%),知的障害者(65施設56.6%),精神障害者(32施設28.3%)であった。4.現在、障害者が利用可能な施設数は 110施設62.4%と多少減少している。障害内容は肢体不自由者で車椅子不使用者(94施設85.5%)車椅子使用者(66施設60.0%),視覚障害者(45施設40.9%),聴覚障害者(84施設76.4%),精神障害者(53施設48.2%)であった。障害者が利用可能なスポーツ内容は水泳(44施設40.0%),筋力トレーニング(32施設29.1%)テニス(24施設21.8%)などである。5.現在は利用されていない施設においても検討されており,将来スポーツ関連施設として利用可能な施設数は142施設80.2%である。〔考察〕静岡県として障害者スポーツの活動拠点と考えられる障害者スポーツセンターを設置しないで,障害者が利用できる地域のスポーツ関連施設の活用をノーマライゼーション理念から展開してきた。しかし,障害者スポーツに対する一般市民の理解と障害者自身の活用方法に課題があった。今回の調査によりスポーツ関連施設の受け入れ状況について把握できたと思われる。その中で視覚障害者と精神障害者の受け入れに難しいことが示唆された。しかし,全体として障害者を受け入れる可能性がある施設が回答施設全体の約8割の回答率を得たことは,今後の静岡県の障害者スポーツの発展に寄与するものと考えている。将来,障害者スポーツ啓蒙のためにも地域統合型のスポーツ施設の姿が望ましいと考える。