日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
慢性炎症性脱髄性多発神経炎の経過中にたこつぼ型心筋症を発症した一例
武井 祐介小林 孝史本田 泉千葉 聡子
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2015 年 22 巻 6 号 p. 531-535

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抄録
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy, CIDP)の経過中にたこつぼ型心筋症を発症した症例を経験した。56歳,女性。45歳よりCIDPを発症し,以後数回の増悪・寛解を繰り返している。両下肢筋力低下と左顔面神経麻痺をきたし,CIDP急性増悪として入院となった。入院翌日に四肢麻痺,呼吸筋麻痺が出現し,ICUにて人工呼吸管理を行った。同時に免疫グロブリン大量療法を開始した。ICU入室後,循環動態は大きく変動した。ICU入室3日目に,心エコーで壁運動異常を認めた。心基部は正常収縮,心尖部は無収縮であり,特徴的な所見からたこつぼ型心筋症と診断した。また同時に40℃を超える発熱を認めた。ICU入室7日目に壁運動異常が改善し,循環動態が安定すると同時に,発熱や四肢麻痺も改善傾向を示した。CIDPは類縁疾患であるGuillain-Barré症候群とは異なり重篤な自律神経障害は稀であるが,本症例では重篤な自律神経障害が生じたことで,たこつぼ型心筋症を発症した可能性が示唆された。
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© 2015 日本集中治療医学会
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