抄録
【はじめに】ハンドヘルドダイナモメーター(以下、HD)の測定誤差を補う方法として、我々は固定用ベルトを使用したHDによる等尺性膝伸展筋力測定などを報告してきた。本研究では、ベルトを用いて固定性に配慮したHDによる足底屈筋力の測定方法を考案し,その再現性について検討した。
【対象と方法】対象は健常者44名(男18名、女26名)、年齢19.9±1.4歳、身長165.7±7.9cm、体重57.8±6.9kgの右下肢である。足関節の整形外科的疾患や足関節痛を有する脚はなかった。対象には本研究の目的、内容を説明し、同意を得た後に測定を行った。HDはアニマ社製徒手筋力測定器μTas MF-01を使用した。足底屈筋力は訓練台上腹臥位にて膝90度強屈曲位での等尺性筋力を測定部位は中足骨遠位部として固定用ベルト使用下と不使用下にて測定した。ベルト使用下での測定は、測定部位と大腿遠位部をベルトで連結固定した。ベルト不使用下での測定は、センサーを検者の手掌部につけてmake testの要領にて行った。いずれも,3秒程度で定常状態となる約5秒間の最大努力による運動を30秒以上の間隔をあけて2回行い、その最大値を採用した。
検者は男性(年齢21歳、身長178.5cm、体重76.0kg,以下男性検者)、および女性(年齢21歳、身長154.0cm、体重56.0kg,以下女性検者)の2名によって行った。異なる検者の測定間には1時間以上の休息を設けた。なお、ベルト使用、不使用の順はランダムとして測定日を変えて行い、2名の検者は本研究に先立って、測定方法に習熟するための練習を行った。分析方法としては、対応のあるt検定、級内相関係数(以下、ICC)、ピアソンの相関係数を用いて検討した。
【結果】等尺性足底屈筋力値平均値は、ベルト使用下において男性検者、女性検者の順に、48.1±13.8kgW、48.0±13.6kgW、ベルト不使用下において同順に 、32.9±4.9kgW、26.5±3.9kgWであった。男性検者、女性検者ともにベルト使用下の筋力が、不使用下の筋力に比べ有意に高値を示した(p<0.01)。ベルト使用下では、男性検者、女性検者間で有意差はなかった。一方、ベルト不使用下では、男性検者において筋力値は有意に高値を示した(p<0.01)。検者間の比較では、ベルト使用下での検者間ICC0.986、ピアソンの相関係数0.986に対し、ベルト不使用下でのICCは0.670、ピアソンの相関係数0.689と低値であった。また、ベルト使用下、不使用下の比較では、ピアソンの相関係数は男性検者0.717、女性検者0.525であった。
【考察】結果より、ベルト使用下での測定における検者間再現性はベルト不使用下に比べても明らかに良好であった。したがって、ベルトの使用はHDの検者間の再現性を高めるうえで有効なものと考えられた。