理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 552
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神経系理学療法
収縮強度の違いによるSilent Periodの持続時間と振幅の変化
*石元 泰子安倍 浩之福山 支伸小林 裕和冨岡 貞治田川 維之藤川 知香竹田 俊也有木 隆太郎下 嘉幸中川 哲朗松見 勲
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抄録

【はじめに】
我々は,第38回日本理学療法学術大会において高校野球選手における打撃動作時のbat head speedと関節可動域との関係について報告した。
 打撃動作のSkillを向上させるための一要素として,柔軟性に富んだ筋は,伸張反射を有効に利用でき,強い筋収縮を引き起こすために重要ではないかと推察した。これらの仮説を検証する為,以下の点に着目している。つまり,適度な随意収縮中の該当筋に対してクイックストレッチが作用した時,筋電図学的にSilent Period(以下SP)の持続時間短縮やその後の振幅の増幅等が惹起される機序によって,テイクバックから並進運動により発生したエネルギーが準備状態にある上半身の筋収縮を瞬時に増幅させながら,上半身に伝播していくのではないかと推察できる。
 今回,第19回東海北陸理学療法学術大会にて,外乱刺激として打腱器による叩打刺激の再現性が得られた先行研究を生かし,各随意筋収縮中に打腱器にて伸張反射を与え、1.SP持続時間2.SP前後の振幅の変化について検討した。
【対象】
被験者は,本研究の目的及び内容を理解し,同意を得て,神経機能に異常を認めない健常者8名8肢とした。なお,計測肢は全被験者の利き手とし,全例右側であった。
【方法】
SPは,肩関節屈曲60°位,肘関節90°位とした椅坐位にて打腱器による叩打刺激を加え,マルチテレメーター(日本光電社製)を用いて,上腕二頭筋から導出した。導出に際して,マスキュレーターGT-10(OG技研社製)を用いて上腕二頭筋の最大随意等尺性収縮の25%,50%,75%及び100%の各状態を視覚的フィードバックにて保持するよう指示した。また,測定順序として持続的筋収縮に伴う筋疲労の影響を排除するため100%から開始し, 25%,50%,75%の順で行い各試行間には十分な休息をとらせた。
 表面筋電図上のSPは,刺激アーチファクト時から筋放電再開までとし,多用途生体情報解析プログラムBIMUTAS(キッセイコムテック株式会社製)を用いて解析を行った。各試行で得られた1.と2.の平均値を算出し,一元配置分散分析(Fishers PLSD)を用いて統計学的に検討した。
【結果及び考察】
各試行で得られた1.において,統計学的に有意な差は認められず,2.においては,収縮強度50%と75%の間に有意な差(p<0.05)が認められ,収縮強度50%の方が75%時と比して増加していた。
 本学会において更に,データ解析,考察を加え詳細について報告する。

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© 2004 日本理学療法士協会
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