理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 106
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骨・関節系理学療法
一側下肢へのPNFが片脚立位時間に及ぼす影響
*松田 浩昭
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抄録
【目的】
 臨床では痛みがあったり筋力の弱い体節へ直接的にアプローチすることはしばしば危険を伴う。そのため、PNFではそのような体節とは別の体節からアプローチを行う間接的治療が用いられることがある。今回この間接的治療効果に着目し、なかでもバランス能力への効果を検討した。バランス能力の評価方法としては臨床で広く利用されている片脚立位時間を用い、軸足と反対側の下肢へPNFの運動パターンを施行することによる片脚立位時間への影響について検討したので報告する。
【方法】
 下肢に既往のない健常成人39名(平均年齢24.8±4.8歳、男性17名、女性22名)を対象者として事前に実験協力に同意を得た。
 対象者を無作為にPNF施行群(19名)と対照群(20名)に分け、両群ともにまず利き足を軸足とした片脚立位時間を測定した。次にPNF施行群には、背臥位で軸足と反対側の下肢に屈曲-内転-外旋パターンのPNFを施行した。運動の内容は、まずPNFの運動パターンを理解してもらうためにも、口頭で説明を加えながら下肢の屈曲-内転-外旋パターンの運動を5回行ってもらう。5回目の運動の最終域で静止性収縮を15秒間行ってもらい、その後30秒間の休息をとってもらった。対照群には、PNFを施行せず背臥位で1分間の休息をとってもらった。次に両群ともに再び利き足を軸足とした片脚立位時間を測定した。対照群を設けて比較することで、学習効果による改善の影響をなくした。統計解析はMann-WhitneyのU検定を用い、有意水準は5%に設定した。
【結果】
 対照群と比較して、PNF施行群では片脚立位時間の有意な延長がみとめられた。
【考察】
 今回片脚立位時間が延長した理由として、PNF運動開始肢位の効果が挙げられる。PNF運動開始肢位の効果には、固有受容器を通して大脳皮質を非特異的に中枢覚醒させる、脊髄運動ニューロンの興奮性を増大させる、筋発生張力の増大、反応時間の短縮といった行動覚醒を生じる効果がある(Ken Yanagisawa,2001)。これらの末梢のみならず中枢への効果や、反対側下肢への発散の効果により、PNF実施側とは反対側が軸足の片脚立位にもかかわらず、片脚立位時間が延長したと考えられる。
 また、PNF施行群の中で改善率が低かった者については、PNF施行中に「きつい」という訴えが多い傾向があったのも興味深く、これは抵抗量が強すぎて過度の疲労感をもたらし、中枢の覚醒レベルの低下を招いたためではないかと推測される。
【まとめ】
 今回の研究では、一側下肢へPNF運動パターンを実施することによる片脚立位時間への即時的な効果が示唆されたが、今後の課題として、さらに信頼性のある評価指標の検討や、経時的な効果について、抵抗量や運動パターンによる効果の相違など、さらなる検討が望まれる。
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© 2004 日本理学療法士協会
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