理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 120
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骨・関節系理学療法
大腿骨頸部骨折手術例の歩行予後に関する多施設間調査
*江郷 功起東 裕一関 誠津上 勝林 秀俊
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抄録
【目的】高齢者の大腿骨頚部骨折(以下頚部骨折)は増加傾向を示し、萩野によると2025年に17万人の新患者が発生すると予想されている。単独医療施設での歩行予後の変化や改善に関する報告は散見されるが、多施設間における報告は見られない。そこで福岡県理学療法士会骨関節系研究部会(骨関節部会)では、平成13年から14年にかけて頚部骨折に関して多施設間の実態調査を行った。その結果を第12回福岡県理学療法士学会にて報告した。今回は、観血的治療を行った症例のみを選択し、退院時歩行能力を歩行自立と非自立に分類して比較検討したので報告する。
【対象と方法】対象は症例収集協力を県士会報にて依頼し、賛同を得た15施設より症例を得た。調査期間は平成13年7月から14年8月の13月とした。全症例253例中、観血的治療を行った246例について検討した。
 方法は、246例を退院時歩行が歩行自助具を用いても自立した自立群125例、自立できなかった非自立群121例に分類した。2群を年齢(65-84歳、85歳以上)、性別、骨折型、入院期間(1-30日、31日以上)、受傷‐手術期間(0-7日、8日以上)、術前PTの有無、術後PT開始期間(0-3日、4日以上)、受傷前歩行能力(自立、非自立)、受傷前生活場所(自宅、自宅外)、退院後生活場所をカイ2乗検定にて比較検討した。また既存疾患として症例数の多かった骨関節、脳血管、循環器、痴呆も同様に調査した。
【結果】全調査項目のうち有意差を示した項目は年齢、入院期間、受傷前歩行能力、受傷前生活場所、退院後生活場所、脳血管、痴呆であった。年齢:自立群65-84歳87例、85歳以上38例、非自立群は同様に58例、63例であった。入院期間:自立群1-30日31例、31日以上94例、非自立群53例、68例であった。受傷前歩行能力:自立群の受傷前自立125例、非自立0例、非自立群の受傷前自立65例、非自立56例であった。受傷前生活場所:自立群自宅116例、自宅外9例、非自立群自宅64例、自宅外57例であった。退院後生活場所:自立群自宅70例、自宅外55例、非自立群自宅17例、自宅外104例であった。脳血管:自立群あり15例、なし110例、非自立群あり32例、なし89例であった。痴呆:自立群あり16例、なし109例、非自立群あり54例、なし67例であった。
【考察】歩行予後に影響を与える要因について、年齢が高いと退院時歩行自立度は低下し、受傷前歩行レベルが高く、自宅にいた場合に高い。入院期間が短いと十分な理学療法が出来ない可能性もあるが、退院時歩行自立度が高くはない。骨折前の歩行能力が低く、紹介元や施設に戻りケアが受けられ短期間の入院と思われた。既往に脳血管障害があると荷重困難やバランスの問題が付加され、痴呆を有すると指示が入りにくく術後プログラムが遅延すると思われた。
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© 2004 日本理学療法士協会
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