理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 137
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骨・関節系理学療法
当院における膝前十字靱帯再建術後の臨床成績
Dilation Systemを使用した骨孔拡大予防の試み
*前田 慎太郎石川 大樹露木 敦志高橋 奏衣小宮山 幸子谷川 直昭
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抄録
【目的】
当院では膝前十字靭帯(以下ACL)損傷に対し,ACL再建術時に骨孔壁圧縮強化に有用な打ち込み棒{Dilation System(日本関節鏡学会,2002)}を使用した膝屈筋腱2重束2ルート再建術を行っている.それに加え術後早期のリハビリテーションを比較的ゆっくり行うことで安定した術後成績を上げているので今回その詳細を報告する.
【対象および方法】
2000年3月~2002年11月までに行った2重束2ルートACL再建術のうち,術後6ヶ月までの間と術後1年以上経過時にそれらを比較できる正確なX線膝側面像が撮影されており,なおかつ再鏡視しえた24例24膝{男性16例,女性8例,平均29.4±9.16歳(15~46歳)}を対象とした.術後後療法は1週より1/6荷重を開始し4週で全荷重(広範な半月板縫合術同時施行例は5週で全荷重)とした.また関節可動域は術後4週で屈曲135°,伸展0°を目安とした.なお筋力訓練はclosed kinetic chain exerciseを中心に行った.X線評価は,膝側面像における骨孔前後径を大腿骨側,脛骨側で計測し,2mm以上の骨孔拡大を拡大群とした.これらの症例に対し,拡大群の出現頻度,術後1年時の膝前方制動性(KT-2000患健側差),再鏡視時の移植腱の状態,術前後の活動性(Tegner activity score)を評価した.再鏡視所見時の移植腱の状態については,移植腱の太さ,緊張,滑膜被覆,以上の3項目を総合し評価した.
【結果】
X線評価による骨孔拡大群は脛骨側,大腿骨側において1例も存在しなかった.また,KT-2000患健側差は0.13±1.07mmであり,3mm以上の不良例はなかった.再鏡視時の移植腱の状態は,Excellent 10例,Good 14例,FairおよびPoorはなかった.術前後のTegner activity scoreはそれぞれ7.00±1.75,6.58±2.03であり,ほとんどの症例で元の活動レベルに戻っていた.
【考察】
ACL再建術後,Shelbourneの提唱するAccelerated Rehabilitationなど,後療法の加速を推奨している報告を散見するが,膝屈筋腱を用いた再建術の場合,移植腱の固定間距離が長いため,バンジー現象やwind wiper motionによる術後のゆるみ,骨孔拡大などの様々な問題が報告されている.これらの諸問題に対し我々はACL再建術時にDilation Systemを使用し,それに加え術後早期のリハビリテーションを比較的ゆっくり行うことで骨孔拡大や移植腱のゆるみ,断裂等もなく安定した術後成績をあげることができた.また,術後の活動レベルもほぼ保たれていたことから術後早期に比較的ゆっくりとしたリハビリテーションを行っても術後1年時の活動レベルに影響がないことがわかった.
【まとめ】
2重束2ルートACL再建術の術中にDilation Systemを使用し,術後早期のリハビリテーションを慎重に行うことで良好な術後成績を上げることができた.
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© 2004 日本理学療法士協会
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