理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 187
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骨・関節系理学療法
中学生サッカー選手における筋腱付着部障害発生に関連する要因について
*中澤 理恵坂本 雅昭芹澤 志保白倉 賢二
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抄録

【目的】
 サッカー選手のスポーツ傷害発生頻度は高い。特に,成長期のサッカーでは大きな外傷になることが少なく,障害の発生頻度が高いことが特徴である。成長期は身体の長育・幅育に不均衡が生じることから,筋・腱付着部の障害をもたらす可能性が高いと考えられる。本研究の目的は,成長期スポーツ傷害の予防に対する介入の可能性を探索するため,筋腱付着部障害発生に影響を及ぼす身体的要因について検討することである。
【対象及び方法】
 対象は,群馬県内の中学校3校の男子サッカー部員81名(12-15歳)とし,筋腱付着部障害のある群(以下A群)13名とない群(以下B群)68名の2グループに分けた。調査・測定項目は,サッカー活動に関するアンケート(経験年数),身長,体重,体脂肪率,筋タイトネス(腸腰筋,大腿四頭筋,ハムストリングス,下腿三頭筋,内転筋群),下肢アライメント(Q-angle,leg-heel angle),関節弛緩性テストとした。各要因間の関連性を調べるために,全調査・測定項目について相関分析を行った。その後,項目ごとに2群間の平均値の差の検定(対応のないt検定)を行った。さらに,筋腱付着部障害の有無を目的変数とし,調査・測定で得られた17項目を説明変数として判別分析を行った。また,ステップワイズ法を用い,各項目のF値を考慮して説明変数を絞り込んだ。
【結果及び考察】
 全調査・測定項目間に対する相関分析の結果,左右の相関は高い値を示したが,各要因間では低値を示した。また,2群間での平均値の差の検定の結果,有意差が認められたのは右腸腰筋のタイトネスのみであった(p<0.05)。さらに,ステップワイズ法を用い判別分析を行った結果,7項目の説明変数に絞り込むことができた(WilksのΛ=0.817,p<0.05,誤判別率25.9%)。中学生サッカー選手の筋腱付着部障害発生に関連する要因として,体脂肪率,経験年数,筋タイトネス(右腸腰筋,内転筋群,右ハムストリンスグ,左大腿四頭筋),アライメント(左leg-heel angle)の関与が明らかとなった。成長期スポーツ傷害に対する理学療法領域の治療に加え予防に対する介入の可能性が示唆された。

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© 2004 日本理学療法士協会
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