理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 231
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骨・関節系理学療法
大腿骨頚部骨折術後の移動能力予測
患肢荷重率を用いて
*飛永 浩一朗, 山下 絵美, 押川 達郎, 山本 千晶, 高村 三富美, 高橋 誠, 坪根 愛, 河野 洋介, 井手 睦
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抄録
【目的】 大腿骨頚部骨折は高齢者に頻発し、移動を主としたADLに多大な支障をきたす。今日、急性期病院では在院日数の短縮が進み、早期からの予後予測によるリハプログラムの効率化が求められている。大腿骨頚部骨折術後理学療法において患肢への荷重度合いが獲得する歩行能力の指標になるかを検討した。
【対象・方法】 平成14年12月から平成15年9月までに当院において大腿骨頚部から転子部の骨折に対し骨接合術を行った患者のうち受傷前歩行能力が屋内独歩であった59名(平均年齢81.0±6.3歳、男性:7名、女性:52名:大腿骨頚部骨折14名、大腿骨頚基部骨折7名、大腿骨転子部骨折38名)を対象とした。対象者は全員、骨接合術の翌日より全荷重が許可されている。
 理学療法実施毎に以下の点を評価し、経時的変化を検討した。(1)患肢への荷重度合い(2)訓練時の歩行能力。患肢の荷重度合いは体重計に一脚ずつのせ、平行棒を支持させた状態で骨折側下肢に疼痛が無い範囲で最大限に荷重させ、その値と体重との比率とした(荷重率%)。歩行能力は平行棒内立位・平行棒内歩行・歩行器歩行・一本杖歩行の4段階に分類した。改訂長谷川式簡易知能評価スケールを用いて理学療法終了時時点での痴呆の有無を評価し、20点以下を痴呆ありとした。統計処理には回帰分析を用いた。
【結果】対象患者のうち痴呆なしは34名、痴呆ありは25名であった。痴呆なしの退院時歩行能力は平行棒内歩行1名、歩行器歩行5名、一本杖歩行26名、独歩2名となった。痴呆ありでは平行棒内歩行2名、歩行器歩行9名、一本杖歩行13名、独歩1名であった。平均荷重率と歩行能力との関係について、痴呆なし・ありにおいてそれぞれ単回帰分析を行った結果、危険率1%未満で有意であった。痴呆なし・ありともに、相関係数は0.99、決定係数は0.98であった。二種類の回帰直線により、痴呆あり群ではなし群に比して同じ荷重率でも獲得する移動能力が低い傾向にあることが示唆された。(回帰係数:痴呆なし13.4、痴呆あり10.4)
【考察】術後患肢への荷重率と歩行能力において単回帰分析を行った結果、有意な直線的な関係が示され回帰係数より痴呆なしの方が痴呆ありより改善傾向が良い結果となった。すなわち荷重率が上がるに伴って移動能力が向上すること、痴呆の有無で荷重率と歩行能力に違いがあることから、歩行訓練を進めるにおいてセラピストが痴呆の有無を知った上で荷重率を評価することは予後予測の有効な指標になり得ると考えられた。荷重率の提示により患者にボディイメージを持たせることが容易になると期待され、短い入院日数での術後リハを効率的にすると思われる。
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© 2004 日本理学療法士協会
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