理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 230
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骨・関節系理学療法
変形性股関節症患者における歩行の規則性について
カオス解析を用いて
*山藤 真依子, 香川 真二, 青木 修, 木村 愛子, 高橋 昭彦, 加藤 正彦
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抄録
【はじめに】変形性股関節症(股OA)患者の歩行について調査した報告は枚挙にいとまがないが、その多くはデータを断片的に解析しており患者の歩行全体にわたって解析しているものは少ない。歩行は常にシステムとして捉えられるべきものであり包括的な解析が必要である。
今回、股関節屈曲伸展角度に着目しカオス解析を用いて股OA患者の歩行を健常高齢者と比較することにより股OA患者の歩行における規則性を検討した。
【対象】対象は健常高齢者8例(健常群:64.3±2.6歳)16関節と手術目的で当院に入院した重度の股OA患者10例(股OA群:60.3±8.5歳)10関節であった。すべての対象者には、本研究の趣旨を説明し同意が得られた。
【方法】測定は3次元動作解析装置ELITE SYSTEM(BTS社製)を用いた。サンプリング周波数は50Hzとし、被験者の腸骨稜、股関節軸、膝関節軸にマーカーを貼り付け、マーカーの位置をコンピューターに記録した。10mの歩行路を用い、数回練習した上で定常歩行3周期を設定した。ELITE SYSTEMから得られた股関節屈曲伸展角度の時系列データを多次元空間に再構成し、そこから得られたカオス性を示す指標であるリアプノフ指数を健常高齢者と比較した。統計学的処理はMann-Whitney検定を用い、有意水準を5%とした。
【結果】健常群の平均リアプノフ指数は4.29±2.82、股OA群では1.92±1.28であった。股関節屈曲伸展角度から算出されたリアプノフ指数は健常群と比較して股OA群は有意に低い結果となった。
【考察】今回の結果より健常群、股OA群ともにリアプノフ指数が正の値を示したことは歩行中の股関節屈曲伸展角度において両群ともにカオス性を有していることを表している。
その中で、健常群と比較して股OA群のリアプノフ指数が有意に低値を示したことから股OA群では股関節運動における自由度の低下が示唆された。高橋らは自由度を変化可能な多くの要素が存在していることであると述べている。運動の自由度とはあらゆる外部環境の変化に対して生体が運動を選択した上で微調節し、適切な対応が可能であるかを判断する指標となり得る。また福井は、股関節が障害されると運動時において同時に体幹の動きを伴い高度な平衡調節機能を保つことが困難になると報告している。このことから、股OA群では疼痛や器質的変化により股関節の使用頻度の減少によって生じる正常とは異なった運動を遂行したことに加え、隣接部位である骨盤、体幹で代償したため歩行中の股関節屈曲伸展角度において運動の自由度が制限されたと考えられた。よって、股OA群は多様に変化する環境に対応しうる股関節の適応能力が低下していると考えられた。
今後、股関節術前後における各運動方向のカオス性の増減や、退院後の経時的変化を追っていく必要があると思われる。
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© 2004 日本理学療法士協会
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