理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 266
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骨・関節系理学療法
人工膝関節置換術における術中獲得可動域と退院時との比較検討
PCLの影響を中心に
*石井 亮石井 義則松田 芳和高橋 賢木賀 洋
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抄録
【目的】人工膝関節置換術後の理学療法を行なう上で膝関節屈曲可動域の獲得は除痛とともに重要な要素の一つであり、日常生活動作を左右することから患者のニーズが高い事項でもある。多くの文献において「術後の膝関節可動域の獲得には術前の可動域が大きく影響する」と報告されている。今回、我々は人工膝関節置換術において、術中麻酔下における膝屈曲可動域と退院時の膝屈曲可動域を比較し、術中の膝屈曲可動域が退院時の目標可動域を決定する一つの指標になりうるかを検討した。
【対象】2002年11月から2003年10月の9ヶ月間に外的要因のない変形性膝関節症により、当院にてセメントレスおよびハイブリッド人工膝関節置換術を施行した症例26例27関節(平均年齢72±8.2歳、術後平均入院日数33.3±10.6日)を対象とし、PCL温存群(14例)とPCL切除群(13例)に分類した。機種は全例Depuy社のモービルベアリング型LCS人工膝関節システムを使用し、同一術者によって行なわれた。また、PCL温存・切除は無作為に行なった。なお、術後は翌日より全荷重を許可し、術後1週まではダングリング等の自動関節運動を行い、2週以降は理学療法士による他動的関節可動域訓練を行なった。
【方法】術中腰椎麻酔下、退院時の膝屈曲可動域を測定し、PCL温存群と切除群の両群における術中麻酔下と退院時の膝屈曲可動域の相関について調べた。なお、相関分析は、ピアソンの相関係数算出によって処理した。
【結果】平均膝屈曲可動域はPCL温存群が術中125.4±7°、退院時101.2±12°で切除群が術中121.4±9.9°、退院時105.5±13.6°であった。術中麻酔下と退院時の膝屈曲可動域の間にはPCL温存群r=0.117(P<0.01)、PCL切除群r=0.649(P<0.01)と、PCL切除群においては統計学上有意な相関が認められたが、PCL温存群において相関は認められなかった。
【考察】術中可動域の測定は両群ともに術中同条件の下、軟部組織の緊張が最小限となる麻酔下で行なった。その結果、退院時の膝屈曲可動域との間には切除群にのみ有意な相関が認められ、温存群には相関が認められなかった。このことから温存群におけるPCLの影響が考えられた。その要因として、1.覚醒後PCLが本来の生理的緊張を取り戻したこと、2.屈曲に伴いPCLの緊張が高まること、3.術中の後方支持機構(軟部組織)解離の操作によってPCLが一過性の拘縮を起こし、術後1ヶ月程では改善されなかったことなどが推察される。今回の結果からPCL切除群においては、術中の膝屈曲可動域は退院時の目標可動域を考える上で、一つの指標となりうることが示唆された。一方、PCL温存群では、PCLの影響を考慮した後療法について検討していく必要性があると思われた。
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© 2004 日本理学療法士協会
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