理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 283
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骨・関節系理学療法
装具装着により立位アライメントと歩行機能が改善した症例
短下肢装具と反張膝用膝装具の連結の試み
*白田 祥子外島 裕之
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抄録
【目的】今回、踵部を補高した支柱付短下肢装具(以下SLB)に、反張膝用Center Bridge Brace(以下CBブレース)を連結させたものを作製した。この装具の有無により、立位歩行時の矢状面でのアライメントを比較し、装具の有効性を示す。
【患者紹介】67歳男性、平成8年頃より歩行時のつまずきやふらつきを認め、T医科大学医療センターを受診。頚髄脊髄変性症と診断。退院後、アルコール依存症となり、平成9年2月27日国立K病院に入院。入院中、両下肢屈曲拘縮をおこす。平成9年9月9日K病院へ転院し、平成9年10月6日筋切離術を施行。理学療法を開始するも、歩行は困難にて車椅子レベルであった。平成9年12月24日当院に転入院となる。
【理学的所見】ROMは、右膝伸展5度、膝屈曲は右120度、左95度、両側足関節背屈-30度、股関節にも軽度の制限を認めた。MMTは、上肢はほぼ正常も、体幹4、股関節3、膝関節屈曲2~3、膝伸展4、足関節背屈3、底屈2であった。感覚は表在覚において下腿部に軽度の低下を認めたが、深部覚は正常であった。
【装具の有無による姿勢動作分析】立ち上がりは、裸足では臀部の挙上とともに膝を伸展位でロックさせてしまう。しかし装具を装着することによって、起立動作に応じた膝の伸展が可能となり、膝の動きがスムーズになる。前方への体重移動には、上肢の力を必要とするが、装具装着時のほうが依存度は少ない。  
立位姿勢を矢状面からみると、裸足では股関節を屈曲させ体幹は前傾位となり、膝関節は伸展位ないしは過伸展位でロック、下腿軸は後方へ傾斜する。重心の前方移動は両上肢にて補助している。装具を装着すると、踵部の補高によって足底全面接地が可能となり、SLBとCBブレースによる後方から前方への矯正力によって、矢状面でのアライメントが修正される。このため上肢に頼らず体幹を正中位に保持することが可能となる。
歩行は、裸足では立脚初期に踵接地がみられず足先接地となる。立脚期全体を通し股関節屈曲、膝関節過伸展、足関節底屈で踵接地はみられない。また体幹を前傾し重心の前方移動を修正するも不十分であり、上肢での補助が必要となる。遊脚期では下肢の振り上げが不十分となり、足部の内反尖足によりつま先は引きずりぎみになる。装具装着時では、立脚初期の踵接地が可能となり、体幹は正中位で保持され、上肢での補助が少なくても重心の前方移動がスムーズとなる。遊脚期では立脚側の支持性が向上し、下肢の振り上げも大きくなり、つま先の引きずりが解消された。
【考察とまとめ】CBブレースによる反張膝の修正に加え、SLBの踵部の補高と足継手の調整による前方への矯正力により、矢状面でのアライメントを改善させ、立位歩行機能が向上した。また装具を連結させることにより、装具の重なりがなくなり、見栄えが良く装着も容易となった。
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© 2004 日本理学療法士協会
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