理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 719
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骨・関節系理学療法
人工股関節全置換術後患者の和式トイレ動作の評価
四次元動作解析システムを用いて
*相川 和久三木 秀宣菅野 伸彦萩尾 佳介中村 宣雄吉川 秀樹大竹 義人服部 麻木鈴木 直樹
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抄録
【目的】
 人工股関節全置換術(以下、THA)を受けた術後患者に対し、術後ADLに関して脱臼防止目的と称して和式トイレを禁止するよう指導することが多いようである。しかし、実際には和式トイレを使用した経験のある患者も多いのが現状である。そこで我々はTHA術後患者の和式トイレ動作について、四次元動作解析システムを用いてインピンジメントするまでの角度および部位を計測し、その危険性を評価することを目的として研究をおこなった。
【対象と方法】
 ボランティア健常女性4例8関節(平均24歳)から赤外線位置センサー(VICON 512)を使用し、体表に赤外線反射マーカー5点(両側上前腸骨棘・両上後腸骨棘中点・大腿骨外側上顆・大腿骨内側上顆)を貼付し、和式トイレ動作データを取得した。和式トイレ動作は、足部を便器の幅に開かせた状態で、両膝顆間1手拳距離にするようにしてしゃがませる極端肢位とした。この動作上で股関節が最も屈曲した時点での屈曲、内転、内旋角度を計測し、得られた股関節角度データを基準角度と定義した。それとは別にTHA術後患者のCT画像から骨盤、大腿骨を抽出し三次元骨格モデルを作成した。患者は女性9例14関節(平均54歳)で、原疾患は変形性股関節症8例、大腿骨頭壊死1例であった。人工関節の機種はANCA-Fit system:10関節、VerSys system:4関節であった。この骨格モデルに人工関節CADモデルを挿入した人工関節を含む三次元骨格モデルを作成し、ボランティア健常女性より抽出した基準角度を三次元骨格モデルに連動させ、和式トイレ動作上の基準角度からインピンジメントするまでの角度の計測をおこなった。
【結果および考察】
 健常女性から取得した和式トイレ動作中の平均基準角度は屈曲89°、内転-1°、内旋24°であった。この基準角度をTHA術後患者の三次元骨格モデルに連動させた結果、基準角度より10度未満でインピンジメントを起こすものは内転方向で7/14関節、内旋方向で9/14関節であった。このうち骨格同士もしくはステムと骨盤でのインピンジメントが内転方向3関節、内旋方向4関節、インプラント同士のインピンジメントが内転方向4関節、内旋方向5関節であった。
 今回の検討では術後患者の軟部組織を除いた骨格モデルを用いたシミュレーションであり脱臼原因の一要素であるインピンジメントのみしか評価できていないこと、健常人での動作を用いていることが問題点ではあるが、本研究で用いたような極端な和式トイレ動作を取ったと仮定した場合のインピンジメントはインプラントの設置角度の問題だけではなく、各個人の骨格によっても影響をうけるところが大きいと思われ、カスタマイズされた指導が必要となるであろうことが示唆された。
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© 2004 日本理学療法士協会
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