理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 751
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骨・関節系理学療法
肩腱板断裂サイズのScapulohumeral rhythmへおよぼす影響について
*唐澤 達典畑 幸彦高橋 友明青木 幹昌立本 健二川崎 桂子
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抄録
【目的】
 肩腱板断裂例のScapulohumeral rhythmは健常人と異なることはすでに報告されている。
 今回,腱板断裂例の断裂サイズの違いがScapulohumeral rhythmにどのような影響をおよぼすのかを調べるために,術前における肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節の動きを計測して比較・検討した。
【対象】
 対象は肩腱板断裂により手術療法をうけた患者のうち,術前に関節拘縮のない59例59肩である。これらを術中所見より断裂の長径が5cm以下の小断裂群と5cm以上の大断裂群の2群に分けた。小断裂群は40例40肩(平均58.9歳),大断裂群は19例19肩(平均62.6歳)だった。さらに対照群として肩関節に異常のない健常人24例48肩(平均22.5歳)を同様に計測し,3群間で比較した。
【方法】
 被検者は端坐位とし,肩甲骨面上で両肩関節を自動挙上させた。体幹長軸と上腕骨長軸とのなす角を体幹上腕角とし,体幹長軸と肩甲骨棘とのなす角を体幹肩甲棘角とした。計測はゴニオメーターを用いて同一検者が測定した。
 体幹上腕角30°,90°および150°での体幹肩甲棘角を計測し,体幹上腕角30°~90°間と90°~150°間での体幹肩甲棘角の変化量を求めた。体幹肩甲棘角の変化量を肩甲胸郭関節の動き,体幹上腕角の変化量から体幹肩甲棘角の変化量を引いた角度を肩甲上腕関節の動きと定義し,3群間での有意差検定を行った。
【結果】
 体幹上腕角30°~90°間では3群間において有意差を認めなかった。体幹上腕角90°~150°間では大断裂群の肩甲胸郭関節の動きが他の2群より有意に大きかった。
【考察】
 腱板断裂サイズが長径で5cm以上になると棘上筋,棘下筋,小円筋まで損傷しているものと推察される。断裂サイズが小さい場合には肩甲骨の位置を前傾させることや三角筋の筋力による代償などで腱板の機能を代償することが可能と思われるが,5cm以上の断裂ではこれらの代償が困難になると考えられた。体幹上腕角90°以上の挙上においては挙上角度を得るために肩甲骨の回旋角度(肩甲胸郭関節の動き)が大きくなり,これによって腱板機能不全を代償しているように思われた。
【まとめ】
 腱板断裂例59肩に対し,術前の肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節の動きを計測した。肩90°以上の挙上において腱板断裂サイズが長径で5cm以上の群は,対照群および断裂の長径が5cm以下の群より肩甲胸郭関節の動きが大きかった。
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© 2004 日本理学療法士協会
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