理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 802
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骨・関節系理学療法
橈骨遠位端骨折に対するnon-bridge型創外固定術
早期運動開始の臨床的意義に関する検討
*高橋 賢石井 義則松田 芳和石井 亮木賀 洋藤沼 佳奈
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抄録
【はじめに】F-Wristは橈骨遠位端骨折に対するnon-bridge型創外固定器で,遠位骨片用ピンは従来より細いものを使用し,橈側から刺入し固定することで,(1)遠位骨片が小さい場合でも適応となる(2)遠位ピンがベンディングするため手関節橈屈も可能である(3)non-bridge型なので手関節運動を制限しないことが特徴である。このF-Wrist使用症例の治療成績と理学療法経過より,手関節・前腕運動が早期から可能となることの臨床的意義について考察したので報告する。
【対象】平成12年3月より15年8月までに,当クリニックにおいて橈骨遠位端骨折に対しnon-bridge型F-Wrist(株式会社アラタ製)創外固定術を行なった計24例のうち,6ヶ月以上経過観察可能であった18例(男性5名,女性13名,平均年齢61歳)を対象とした。受傷後から手術までの平均期間は5日(1~13日)で,骨折側は利き手側10例,非利き手側8例,骨折タイプはAO分類にてA2:2例,A3:6例,B1:3例,B2:2例,C1:2例,C2:2例,C3:1例であった。
【治療方法】手術翌日より患部外の可動域運動および疼痛自制内での自動運動を開始した。運動後の疼痛の残存や浮腫・熱感の程度を管理しながら,運動範囲や運動量を決定した。安静時痛の消失した頃より他動運動と抵抗運動を開始し,セルフ・エクササイズとして他動的な可動域運動や筋力改善・末梢の還流作用を促すためにボール握り,タオル絞りなどを指導した。また,術後6週の抜釘以降は,ピン刺入部周囲の軟部組織の可動性改善に対し,myofascial releaseも行なった。
【結果】抜釘までの期間は平均42日で,平均経過観察期間は11.3ヶ月(6~24ヶ月)であった。最終観察時の平均可動域は手関節背屈61度,掌屈51度,橈屈20度,尺屈33度,前腕回内82度,回外82度で,握力は26kg(健側比78%)であった。臨床スコアは斎藤スコアを用い,全例excellentまたはgoodであった(平均2ポイント)。合併症としては手指拘縮3名(3ヶ月以内に消失),橈骨神経浅枝の神経障害3名(6週以内で消失),RSDは認めなかった。
【考察】橈骨遠位端骨折に対する創外固定はbridge型とnon-bridge型に分類される。F-Wristは遠位ピンを橈側より複数刺入し,小骨片でも強固に固定できるため,手術翌日から手関節および前腕部の運動が可能であり,術後の治療成績においても良好な結果が得られた。最小限の固定のため,早期から運動開始が許可されることは,末梢の還流作用を一層効果的とし,手指・手関節の拘縮や浮腫を予防できる。また,何よりも術後早期から患肢のADL動作が許可され,家事や職場復帰も可能となることのメリットは患者にとって大きいと考えられた。
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© 2004 日本理学療法士協会
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