理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 801
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骨・関節系理学療法
上肢骨折後の手関節関節可動域と手根骨の副運動との関係について
*橋田 浩盆子原 秀三牧野 叡聖梶原 一
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キーワード: ROM, 手根骨, 副運動
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抄録
【はじめに】
上肢の骨折では保存的治療、観血的治療に関わらず固定に数週間必要とし、固定後の上肢各関節には関節可動域の制限をもたらす。今回は、手関節関節可動域と手根骨の副運動との関係について測定を行い、若干の知見を得たので報告する。
【方法】
対象は当院外来患者21名(男性4名,女性17名,名平均年齢61.64歳)とした。上肢骨折の分類は上腕骨骨折3名、前腕骨折8名、手関節および手指の骨折10名、受傷後の固定期間は平均43.56日であった。方法は当院で作成した評価用紙を用いた。評価項目は手関節掌屈、背屈角度の計測。手根骨の副運動をkaltenbornの凹凸の法則に基づき健側と比較した。副運動は1.健側と同様に動く、2.健側の2分の1程度動く、3.ほとんど動かない、の3段階に分け点数化した。統計処理は手関節角度と点数化された副運動を比較するためにkruskal-Wallis検定を用い、統計学的有意水準は危険率を5%とした。
【結果】
平均掌屈角度は46.25±16.17度、背屈角度は53.48±19.27度であった。有意差が認められた項目は1.掌屈角度と有頭骨を固定し、舟状骨を下方に動かす(p<0.02)。 2.掌屈角度と有頭骨を固定し、月状骨を下方に動かす(p<0.04)。であった。また傾向が認められた項目は1.背屈角度と有頭骨を固定し三角骨を上方に動かす(p<0.09)。2.背屈角度と舟状骨を固定し大・小菱形骨を下方に動かす。(p<0.07)。3.背屈角度と橈骨を固定して月状骨を下方に動かす(p<0.06)。であった。
【考察】
手関節掌屈、背屈と手根骨の副運動に関しては凹凸の法則により記されているが、実際の疾患についてこれを明らかにしている文献は少ない。今回、手根骨の副運動の程度を3段階により表わし、掌屈、背屈角度との関連性を検討した。これにより掌屈角度については有頭骨に対する舟状骨の下方滑りと、有頭骨に対する月状骨の下方滑りに有意差が認められた。背屈角度については有頭骨に対する三角骨の上方滑り、舟状骨に対する大・小菱形骨の下方滑り、橈骨に対する月状骨の下方滑りにその傾向が認められたにすぎなかった。これらについて、掌屈に対しては凹凸の法則に従った結果となった。背屈に関しては、有頭骨に対する三角骨の上方滑りと、橈骨に対する月状骨の下方滑りに関しては、凹凸の法則に従った結果となったが、舟状骨に対する大・小菱形骨の下方滑りに関しては凹凸の法則と逆の結果となった。この理由として1.手技における曖昧さ。2.骨運動以外の筋肉・靱帯の制限因子が考えられる。今後の課題として、手技の再現性の研究、骨運動以外の関節可動域制限因子明らかにすることが考えられる。
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© 2004 日本理学療法士協会
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