抄録
【目的】
スポーツ選手にとって腰部体幹は動作の支点であり、高い運動機能を求められる。今回我々はハイレベル運動選手の体幹等速性筋力指標を検討したので報告する。
【対象および方法】当院に訪れたスポーツ選手のうち、高校運動部全国大会出場レベルおよび大学体育会運動部に所属する男性100名(15歳~20歳)を対象とした。このうち一度も腰痛を経験していない群を健常群、腰痛でスポーツ活動に支障をきたしている群を腰痛群とした。体幹筋力測定はBiodex社製システム3、backattachment、Torso-rotation attachmentを使用し、体幹の屈曲伸展運動および左右回旋筋力を角速度60度/秒で3回isokinetic modeで測定した。各運動においてピークトルク値を体重比に換算し、合わせて屈曲ピークトルク値に対する伸展の比(E/F比)、および右回旋ピークトルク値に対する左回旋の比(L/R比)、屈曲伸展ピークトルク値の和に対する左右回旋ピークトルク値の和の比((L+R)/(E+F)比)を求めた。
【結果】
E/F比、L/R比は両群間で有意差は認めなかったが、(L+R)/(E+F)比は健常群0.52、腰痛群0.62で腰痛群が有意に高値を示した(P=0.05)。
【考察】
体幹の筋力評価は健側と患側を比較することが不可能であるため、またスポーツ障害のリハビリテーションならびに競技力向上に対しての指標が不可欠である。これまで体幹筋力の評価の多くはピークトルク値、E/F比などで検討されてきた。各種運動は二次元的に構成されるのでなく、三次元的な複合運動パターンである。本研究で回旋筋力と屈曲伸展筋力の比において健常群、腰痛群間で有意差を認めたことはそれを裏付けるものであり、(L+R)/(E+F)比0.5は体幹の複合運動を評価する一つの指標になると考えた。