理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 973
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骨・関節系理学療法
当院におけるソフトテニスにより発生した肩関節障害の臨床的所見について
*細居 雅敏鵜飼 建志林 典雄赤羽根 良和中宿 伸哉田中 幸彦宿南 高則近藤 照美増田 一太山崎 雅美笠井 勉
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抄録

【はじめに】
 一般的にテニスにおけるスポーツ障害は、テニス肘が広く知られているが、肩の障害についてはあまり報告がない。今回、ソフトテニスにより生じた肩関節痛(以下 テニス肩)について調査したので若干の考察を加え報告する。
【対象および検討項目】
 平成13年8月から平成15年11月までに当院を受診、ソフトテニスにより肩関節に疼痛が生じた10例10肩(男性9例 女性1例 平均年齢15.0±1.2歳)を対象とした。内訳は中学生5例、高校生5例であった。
 検討項目は1)疼痛発生部位 2)疼痛発生ストローク及びphase 3)主な理学所見とした。
【結果】
1)疼痛発生部位
 後外側部痛50%、肩峰下部痛30%、肩前方部10%、後外側部痛及び肩前方部痛10%であった。
2)疼痛発生ストローク及びphase
 フォアハンドストローク(以下 フォア)が80%、サービスが40%、バックハンドストローク(以下 バック)が20%であった。また、各ストロークでのphase別では、フォアでのfollow through phase(以下 F期)が40%、impact時(以下 I時)が30%、 take back phase(以下 T期) 20%認めた。また、サービスでのF期が20%、T期では10%を認めた。バックにおいては、F期とT期がともに10%ずつ認めた。
3)主な理学所見
 圧痛所見は、小円筋90%、quadrilateral space(以下 QLS)70%、棘上筋70%、棘下筋30%、上腕三頭筋長頭30%、上腕二頭筋長頭30%などに認め、40%にimpingementを認めた。僧帽筋筋力低下(MMT3以下)が下部線維9例(90%)、中部線維7例(70%)であった。
【考察】
 同じ肩関節スポーツ障害である野球肩について、我々は第38回日本理学療法学術大会にてF期及びT期での後外側部痛が多かったと報告をしている。今回調査したテニス肩においてもフォア、特にF期での後外側部痛が最も多く認めた。これは野球肩での発生機序同様、QLS症候群様症状を呈したためと考えられる。一方、野球肩でのaccelerationでは腱板疎部に疼痛を生じる症例も多く見られたが、テニス肩ではそのphaseに相当するtake forwardでは疼痛を生じた症例は存在しなかった。また、野球肩でのball release時では疼痛を訴える症例は少なかったのに対し、テニス肩ではそのphaseに相当するimpact時に疼痛を訴える症例が30%存在した。これは、impact時にかかる衝撃力が肩前方部及び肩峰下部での障害に大きく関与していると考えられ、テニス肩の特徴であると思われた。

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© 2004 日本理学療法士協会
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