理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 992
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骨・関節系理学療法
変形性膝関節症患者における関節位置覚の横断的研究
*嶋田 誠一郎佐々木 伸一北出 一平小川 真裕美川原 英夫小林 茂馬場 久敏和田 真
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抄録
【目的】変形性膝関節症(膝OA)患者では、関節固有受容感覚が低下することが知られている。また関節固有受容感覚は加齢によっても低下することが報告されており、高齢者の割合の高い膝OA患者では、OAによる影響と加齢による関節固有受容感覚への影響が混在していることが考えられる。この研究では膝OA患者の膝関節位置覚を横断的に調査するとともに、対照として若年および高齢健常者との比較を行い、膝OA患者の膝関節位置覚低下に占めるOA自体の影響と加齢による影響とを検討した。さらに膝OA患者のアラインメント(FTA)や関節動揺性との関係も検討した。
【対象】膝OA患者94名(68.5±9.7歳)、161膝であり、Kellgren-Lawrenceによるレ線グレード分類はIが18膝、IIが26膝、IIIが81膝、IVが36膝であった。対照は下肢に既往のない健常者68名とし、サブグループとして年齢50歳以上を高齢健常群32名(64.1±6.8歳)54膝、50歳未満を若年健常群36名(28.5±8.4歳)47膝とした。
【方法】測定にはGenucom Knee Analysis Systemを用いた。他動運動テストは、検者が膝関節屈曲40度位を保持し、被検者にその角度を記憶させた上で他動的に膝関節を徐々に伸展させてゆき、被検者は記憶した角度に到達したと感じた瞬間に指示し、検者はモニター画面上でその角度を読み取った。自動運動テストは、被検者に膝関節屈曲40度位を等尺性収縮による保持を行わせ、その角度を記憶させた上で自動等尺性収縮にて再現するよう促し、その角度を読み取った。前後動揺性と内外反動揺性は、それぞれストレス(63N、8Nm)を加えて計測した。
【結果】他動運動テストの絶対誤差値は、膝OA群のグレード Iで5.4±3.2度、IIで6.2±2.7度、IIIで6.7±3.1度、IVで5.8±2.3度、対照群の若年群は4.5±2.5度、高齢群は5.6±2.8度であり、膝OAと若年健常群で有意な差を認めた。自動運動テストの絶対誤差値は、膝OA群のグレード Iで3.6±1.9度、IIで3.7±1.9度、IIIで3.9±2.3度、IVで3.9±2.1度、対照群の若年群は2.4±0.9度、高齢群は3.1±1.7度であり、膝OAと若年健常群で有意な差を認めた。年齢と絶対誤差値の関係は、膝OA群の他動運動テストでR=0.06、自動運動テストでR=-0.04であり、健常群では他動運動テストでR=0.24、自動運動テストでR=0.31であり、健常群内で有意な相関を認めた。膝OA患者において絶対誤差値とアラインメントおよび関節動揺性に有意な関係を認めなかった。
【考察】OA膝の位置覚低下は加齢による要素が大きいことを裏付ける結果であった。OA膝では、大きな絶対誤差値を示す症例もあり、全体としてばらつきが大きく、症例によって関節固有受容感覚障害の程度に差があるものと考えられた。
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© 2004 日本理学療法士協会
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