理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1007
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骨・関節系理学療法
足関節内反捻挫受傷機転における足関節・足部の動き
捻挫群と非捻挫群の比較
*岩本 久生小林 亜紀子板谷 麻美金澤 浩白川 泰山浦辺 幸夫
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キーワード: 足関節, 足部, 捻挫
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抄録
【目的】
足関節内反捻挫は頻度の高いスポーツ外傷の一つであり、治療や再発防止に際し内反捻挫時の足部・足関節の動きを知ることは重要なことである。我々は先行研究において、正常な足関節を対象に足関節中間位と底屈位での突発的な内反を生じさせるシミュレーションを行った。その結果足関節底屈位での内反で距骨前外方変位と第5中足骨外旋が多くの対象でみられた。本研究では、捻挫既往者は非捻挫既往者と比較して、距骨前外方変位、第5中足骨外旋の頻度が高いと仮説をたてシミュレーション実験を行った。
【方法】
対象はインフォームドコンセントの得られた外傷既往のない健常群8名(男性1名、女性7名)、足関節捻挫の既往があり前方引き出しテストで陽性の捻挫群9名(男性2名、女性7名)とした。身長(mean±SD)は160.0±6.5cm、体重は52.6±6.4kg、年齢は23.8±1.9歳であった。足関節底屈10°になるように足底部に楔を挿入し、ヒンジを使って30°の内反傾斜が得られる落し扉を作成した。対象は耳栓をし落し扉の上で開眼片脚立位を保持するようにした。対象の腓骨、距骨前外側部、第5中足骨、踵骨に直径5mmの反射マーカーを貼り付け、測定者は落し扉のロックを不意に外した。側方から高速カメラ(Ditect社製Dipp Motion 3D)で足関節・足部の動きを200コマ/秒で撮影した。両群における距骨前外方変位と第5中足骨外旋の出現割合にはフィッシャーの直接確率法を用いた。落し扉が落下してからの距骨前外方変位と第5中足骨外旋の出現時間の比較には、対応のないt検定を用い危険率5%未満を有意とした。
【結果】
距骨前外方変位は健常群で1名、捻挫群で8名にみられた(P<0.05)。第5中足骨外旋は健常群で5名、捻挫群で9名全員にみられた(P=0.08)。落し扉が30°の傾斜に達するまで46.7±7.7msec(mean±SD)の時間を要し、足部は落し扉につられて落下し、落し扉に足底が接地した。その後の動きを(1)健常群、(2)捻挫群として、第5中足骨外旋は(1)83.0±16.0msec、(2)79.4±13.8msecで生じ、距骨前外方変位は(1)120msec(1例)、(2)88.6±17.5msecで生じ始めた。距骨前外方変位と第5中足骨外旋の出現時間に関し両群において有意差はみられなかった。
【考察】
突発的な内反によって健常群より捻挫群で距骨前外方変位の出現が特徴的であることが伺えた。また距骨前外方変位と第5中足骨外旋の出現時間に差がなかったことから、捻挫群では距骨前外方変位は第5中足骨外旋に引き続いて起こるのではなく非捻挫群でもみられる動きであることが分かった。今後距骨や第5中足骨の動きを定量的に捉えていく必要がある。
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© 2004 日本理学療法士協会
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