理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 606
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内部障害系理学療法
周術期呼吸理学療法を施行した高齢肺癌手術症例の臨床的特徴
*俵 祐一, 神津 玲, 朝井 政治, 佐々木 綾子, 中村 美加栄, 中野 豊, 丹羽 宏
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抄録
【はじめに】
 近年,肺癌症例における根治的治療の対象となる高齢者の割合は,早期発見の向上,医療技術の進歩により増加している。しかし,高齢のため,基礎疾患や呼吸機能の低下など,リスクが高くなることは容易に想像できる。そこで今回われわれは、周術期呼吸理学療法(以下PT)の処方を受けた肺癌患者を対象に,高齢者と非高齢者とで術後合併症や転帰を調査し,当院でのPTの処方を受ける高齢患者の臨床的特徴と問題点について比較検討した。
【対象と方法】
 1998年4月から2003年3月までの5年間,当院呼吸器センター外科において肺癌手術およびPTを施行した症例のうち,患者記録を調査しえた218例,男性169例,女性49例,平均年齢69.4±9.2歳を対象とした。
 方法は,カルテより,1.対象者背景:年齢,性別,基礎疾患の有無,2.検査所見:肺機能(VC,%VC,FEV1,FEV1%),入院時動脈血液ガス(pH,PaO2,PaCO2),3.手術所見:術式,手術時間,出血量,4.治療経過:術後肺合併症の有無,分泌物喀出困難の有無(喀出可能,介助にて喀出可能,喀出不可能),深吸気の可否(十分,不十分),術後人工呼吸管理の有無および期間,5.帰結:離床期間,回復室在室期間,胸腔ドレーン挿入期間,PT実施期間,入院期間,転帰を調査し,高齢者群(75歳以上)と非高齢者群(75歳未満)の2群間で比較検討を行った。
【結果】
 高齢者群は73例,非高齢者群は145例であった。各調査項目を比較すると,呼吸器疾患を有すものは高齢者群で50%,非高齢者群では45.9%であった。高齢者群において,VC,FEV1,pH,PO2が有意に低く,離床期間(平均4.4,2.1日),胸腔ドレーン挿入期間(10.1,7.2日)は有意に長かった(p<0.05)。また,術後肺合併症,分泌物喀出困難,深吸気の可否の項目では差は認めなかった。人工呼吸管理を要したものは高齢者群4.1%,非高齢者群5.5%であった。
【考察】
 今回,高齢肺癌手術症例に着目し,非高齢者群と患者背景,術後成績等について比較検討を行ったところ,検査所見では加齢による影響を示すもので有意差はみられたが,ほぼ同様の結果となった。さらに,術後肺合併症の発生率において有意差を認めなかったのは,比較的侵襲の少ない胸腔鏡補助下での手術が増加してきていることと,PTの介入の効果によるものと思われた。しかし,離床期間で高齢者群の方が遅れている点は,実際の基礎体力やADL能力の影響もあると考える。よって,今後高齢肺癌手術症例に対しては,術前指導・訓練をさらに充実させ,術後は病棟とさらに密に連携をとり,チームアプローチでの介入の徹底を図るなど,方法論を見直し,今後の臨床につなげたいと考える。
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© 2004 日本理学療法士協会
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