理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 679
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内部障害系理学療法
当院における頭部外傷患者の肺合併症に関する調査
*渡邊 智之, 南谷 晶, 石田 暉
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抄録
【はじめに】脳血管障害患者が引き起こす肺合併症(肺炎・無気肺)には、発症早期からの予防的な肺理学療法の関わりが望ましいといわれており、それには肺合併症発症の傾向や指標となるものが明らかであれば、より介入しやすいと思われる。脳血管障害全般に関しては星らの研究により、肺合併症を引き起こす因子が報告されており、突発性くも膜下出血に関しては筆者らが前回の本学会にて同様の報告をしている。しかし、これらの報告は、頭部疾患の中でも内因性の疾患に限られ、頭部外傷に関する報告は極めて少ない。そこで今回我々は、頭部外傷を対象とした研究を行うこととした。頭部外傷は、その大半が交通事故、転落・転倒事故などにより引き起こされ、脳実質損傷の他に、四肢・体幹の外傷、胸郭・肺実質の損傷を伴う例も少なくない。そのため、これらの外傷が呼吸運動に何らかの影響を及ぼし、肺合併症発症の一因となることは容易に想像できる。そこで、頭部外傷を呈し、当院に入院した患者を対象とし、肺合併症の割合や関連する因子について調査を行ったので報告する。
【対象】2001年4月から2002年3月までの一年間に、急性発症した頭部外傷にて当院に入院となった全症例202名のうち、発症時死亡例、または延命措置をとらなかった21名を除く、181名(男性126名・平均年齢37.6±23.2歳、女性55名・平均年齢42.1±29.6歳)を調査対象とした。
【方法】対象患者の過去の診療記録より、後方視的調査を行った。調査項目は、脳損傷診断名・骨折部位・肺損傷の有無と部位・意識レベル・手術の有無・肺合併症の有無と種類・気管内挿管の有無・人工呼吸器の有無等、合計17項目の情報を収集した。年齢の比較にはt検定、群間の比較にはχ 2乗検定を用いた。
【結果および考察】対象181名中、肺合併症発症群42名、23.20%(男性35名・女性7名、平均年齢50.4±23.6歳)、非肺合併症群139名、76.79%(男性91名・女性48名、平均年齢35.6±24.9歳)であった。年齢の比較では、肺合併群が有意に高かった(P<0.001)。調査項目の群間比較では、フレイルチェストの有無(P<0.005)、肺挫傷の有無(P<0.0001)、気管内挿管の有無(P<0.0001)、手術の有無(P<0.005)、MRSA感染の有無(P<0.0001)において肺合併群が有意に多い割合を示す結果となった。これらの結果から、年齢や気管内挿管・手術などの因子が肺合併症に少なからず影響を及ぼしていることが示めされ、頭部外傷に付随する外傷では、フレイルチェストと肺挫傷が肺合併症に影響していると考えられる。今後は、さらに肺合併症に影響を与える因子を明らかにし、早期から肺理学療法を行うための指標を得ることが必要と考える。
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© 2004 日本理学療法士協会
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