理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 270
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生活環境支援系理学療法
ミニデイサービス利用者の状況について
*渡辺 純笹澤 悦子碓井 由果井艸 明子安田 睦
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抄録

【はじめに】榛東村(以下,村)はミニデイサービス(以下,サービス)を介護予防事業として2000年度より開始した。サービスには理学療法士の派遣も含まれており,全身調整運動を目的とした運動指導を行っている。サービス利用者の介護予防に効果的な指導内容について検討するために,日常生活活動等を調査し若干の知見を得たので報告する。
【サービスについて】サービスは週1回づつ村内2箇所において行われている。活動内容は10時から保健師による健康相談(バイタルサインのチェック),歓談,レクリエーション(ゲーム,カラオケ,習字等),昼食,(入浴・1箇所のみ)を行い14時頃の解散となっている。
 月1回の理学療法士による指導内容は40分程度のグループ活動で,坐位を中心とした体操(みんなの体操・ストレッチ),ボール・風船を使った四肢の運動等である。保健師・理学療法士が参加しない回はスタッフが運動も含めたプログラムを行っている。登録者は2002年が41名2003年が45名であった。
【方法】対象:調査日にサービスを利用しており,調査等に同意の得られた者02年24名,03年25名であった。11名は03年が初回調査であった。
 方法:8月に聞き取りによるサービス,日常生活活動(以下,ADL)等に関するアンケート調査と握力,片足立ち時間の測定を行った。
【結果及び考察】02年対象者のうち4名(17%)が痴呆症状の憎悪により,03年は介護保険のデイサービスに異動していた。サービスの性質上必要なものと考えられた。03年対象者の平均年齢は82.3歳,身長143.6/162.7cm(女性/男性),体重45.1/58.9kg,握力16.4/27.5kgであった。開眼片足立ちで4名(17%)が1分以上継続できた。残りの者の平均値は13秒で,閉眼では3秒であった。年度間で有意差はなく,維持していると考えられた。
 アンケートより,サービス利用前から循環器,神経疾患,整形外科疾患の既往を持つ者が21名おり,02年から03年の1年間で新たに別の疾患を発症していた者はいなかった。運動指導についての感想は,体力の維持に役立っているが多かった。サービスについては,参加者とのコミュニケーション,外出のきっかけ等が両年とも多かった。改善点として,02年は下肢の運動を増やすことや派遣回数の増加があったが,03年は立位での運動困難への配慮が要望されたが,内容を変更によると考えられた。
 03年のADLは休みなく1時間以上歩けるのは4名,走行では18名が困難,階段は11名が支持を必要としおり,床からの立ち上がりは4名が困難であった。布団のかたづけは5名が困難であった。02年との比較では13名に改善,低下の変化が認められた。今後は,調査項目を増やし,利用者の身体機能,ADLの向上・維持に寄与したい。

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© 2004 日本理学療法士協会
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