理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 72
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理学療法基礎系
足部のtoe-in、toe-outが下肢筋活動に与える影響
*岩下 篤司市橋 則明南角 学山口 哲史高木 泰宏
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キーワード: toe-in, toe-out, 下肢筋活動
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抄録

【目的】スポーツ活動における膝関節の靭帯損傷発生機序について、非接触時における単独での発生率が高いことが報告されている。それは主に急激な方向転換やジャンプ後の接地時において膝関節伸展と下腿回旋および外反の組み合わせが高いストレスを与える影響によるとされている。これらの報告は動作解析による運動学的検討であり、筋電図学的検討はほとんど行われていない。そこで本研究の目的は、toe-in、toe-outでの片脚立位にて踵挙げ動作と膝屈伸動作における筋活動特性を明確にし比較・検討を行うことである。
【方法】対象は健常成人8名(年齢25.0±2.7歳、身長164.8±6.7cm、体重56.0±7.9kg)とした。筋電図の測定筋は右側の大腿直筋、前脛骨筋、腓腹筋内側頭、腓腹筋外側頭の4筋とした。表面筋電図を導出するため電極中心間距離20mmのプリアンプ内臓電極(直径8mm)を筋線維の走行に沿って貼付した。また電気角度計を踵挙げ動作時には足関節に、膝屈伸動作時には膝関節に装着した。Data LINK(Biometrics社製)を用い,筋活動を50msec毎の二乗平均平方根(Root Mean Square)により平滑化し,サンプリングデータの平均値(以下,RMSとする)を求めた.3秒間の最大等尺性収縮を100%として振幅を正規化し%RMSを算出した.足部位置について、右側片脚立位にて足長軸を身体の矢状軸に合わせたものを中間位とし、それから30゜外旋および内旋した位置をそれぞれ外旋位、内旋位と設定した。踵挙げ動作は足関節角度を0゜~最大底屈位の範囲で、膝屈伸動作は膝屈曲角度を90゜~0゜の範囲で、それぞれ反復速度60回/分で行った。各動作での安定したRMSを測定し、電気角度計を基準に3周期分の筋活動量をデータとして用いた。統計処理には反復測定一元配置分散分析及び、Fisher's PLSDの多重比較を用いて、各動作においてtoe-in、toe-outさせたときの影響を分析した。
【結果及び考察】(1)踵挙げ動作(2)膝屈伸動作時の%RMSは、大腿直筋は(1)14.9~28.5%(2)19.8~34.6%、前脛骨筋は(1)28.2~37.6%(2)20.3~26.8%、腓腹筋内側頭は(1)73.4~82.9%(2)17.2~26.0%、腓腹筋外側頭は(1)73.1~94.5%(2)24.9~39.0%の筋活動量を示した。足部位置の変化により、大腿直筋は両動作共に外旋位で有意に筋活動量は増加し、前脛骨筋は踵挙げ動作時に外旋位で筋活動量は増加した。腓腹筋内側頭は両動作共に足位置の変化による影響を受けなかったが、腓腹筋外側頭は両動作共に内旋位で有意に筋活動量は増加した。今回の結果、腓腹筋内側頭は足部位置の変化による影響を受けにくく、反対に大腿直筋と腓腹筋外側頭は足部位置による影響を受けやすく、さらに相反するように活動量が変化することが示唆された。

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© 2005 日本理学療法士協会
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