理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 424
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理学療法基礎系
関節不動化がラットヒラメ筋内のコラーゲン線維の可溶性におよぼす影響
*日比野 至井上 貴行沖田 実平野 孝行筧 重和伊藤 弘志沈 寿代長田 瑞穂
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抄録
【目的】 関節の不動化は,骨格筋の短縮や伸張性・柔軟性低下を招き,筋性拘縮を惹起する.これまでわれわれは,筋性拘縮の病態解明を目的にラット足関節を最大底屈位で不動化し,ヒラメ筋の筋内膜コラーゲン線維網の形態変化を検索してきた.その結果,不動2週後までは正常筋と差異はなく,多くのコラーゲン線維が筋線維の長軸方向に対して縦走していたが,不動4週後以降は筋線維の長軸方向に対して横走するコラーゲン線維が増加し,コラーゲン線維網に形態変化が認められた.そして,この形態変化は個々のコラーゲン線維の可動性減少を示唆しており,仮説としてその要因にはコラーゲン線維間に強固な架橋結合が生成されたことが影響していると考えている.そこで,本研究ではこの仮説を明らかにする目的で,同様の実験モデルにおけるヒラメ筋内のコラーゲン線維の可溶性について検討した.
【方法】 8週齢のWistar系雄ラット(18匹)を無作為に9匹ずつ両側足関節を最大底屈位でギプスを用いて不動化する不動群と無処置の対照群に振り分けた.そして,不動期間は2週(5匹),4週(4匹)とし,対照群は10週齢(5匹),12週齢(4匹)まで通常飼育した.各不動期間終了後は,麻酔下で両側の足関節背屈角度を測定し,次いで右側ヒラメ筋を検索材料に,中性塩,酸,ペプシンそれぞれによる可溶性コラーゲンを定量した.なお,本実験は星城大学が定める動物実験指針に準じ行った.
【結果】 足関節背屈角度は対照群に比べ不動2週後,4週後とも有意に低値で,不動期間で比較すると4週後が2週後より有意に低値であった.次に,中性塩,酸による可溶性コラーゲンは不動2週後,4週後とも対照群と有意差を認めず,ペプシンによるそれは不動2週後は対照群と有意差を認めないものの,4週後は対照群より有意に低値であった.また,全可溶性コラーゲンも不動4週後のみ対照群より有意に低値であった.
【考察】 今回の結果から,足関節背屈方向の可動域制限は不動2週後で認められ,4週後になるとさらに悪化し,これは不動期間の延長に伴う拘縮の進行を意味していよう.ただ,不動2週後の中性塩,酸,ペプシンによる可溶性コラーゲンはすべて対照群と有意差を認めず,このことから不動2週後の拘縮の要因にヒラメ筋内のコラーゲン線維の変化が影響している可能性は低いと思われる.一方,不動4週後は中性塩,酸による可溶性コラーゲンは対照群と有意差を認めないものの,ペプシンによるそれは対照群より有意に低値で,全可溶性コラーゲンも同様の結果であった.一般に,コラーゲン線維はその強さや安定性が増すにつれ,可溶性コラーゲンが減少し,特に強固な分子間架橋結合が生成されたコラーゲン線維はペプシンによっても可溶化されにくくなるといわれている.つまり,不動4週後の結果はこのことを示唆しており,先の仮説が明らかにできたのではないかと考える.
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© 2005 日本理学療法士協会
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