理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 425
会議情報

理学療法基礎系
高齢者におけるハンドグリップ運動での運動筋酸素動態に関する検討
*関川 清一小田川 絢子田平 一行川口 浩太郎稲水 惇大成 浄志
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】近年、健常成人を対象に近赤外分光法(NIRS)を用いて運動筋酸素動態を検討した報告が多くなされているが、高齢者を対象にした報告が少なく、局所運動中の動態について不明な点が多い。そこで本研究では健常高齢者を対象に、負荷強度の違いによる局所運動筋酸素動態が健常成人と異なるか検証することを目的とした。
【対象】測定に先立ち、研究の主旨ならびに方法について説明し、同意の得られた呼吸循環器疾患を有さない高齢者男性9名(高齢群:平均72歳)および健常成人男性12名(若年群:平均24歳)を対象とした。
【方法】運動負荷は3分間の律動的ハンドグリップ運動とした。運動は利き手として、十分な安静状態を保ったのち、3秒に1回のリズムにて10%最大随意運動(10%ex)、30%最大随意運動(30%ex)および50%最大随意運動(50%ex)の3条件で実施した。この場合、近赤外分光法装置(BOM-L1TR・オメガウエーブ社)を用いて前腕屈筋群部位における血液組織酸素化ヘモグロビン・ミオグロビン(OxyHbMb)及び血液組織脱酸素化ヘモグロビン・ミオグロビン(DeoxyHbMb)及び血液組織全ヘモグロビン・ミオグロビン(TotalHbMb)を経時的に測定した。特異的に筋酸素動態を検証するために、安静状態および各強度での運動中にカフインフレーター(E20,AG101・D.E. Hokanson社)を用いて一時的静脈血流遮断法(VO)および動脈血遮断法(AO)をそれぞれ30秒間実施した。筋血流の変化率(%FBFNIRS)はVO中のTotalHbMbの変化率、筋酸素利用の変化率(%VO2NIRS)は、30秒間のAO中のOxyHbMbの変化率より算出した。
【統計処理】測定条件(安静・10%ex・30%ex・50%ex)の違いによる2群間(高齢群・若年群)での各解析値の差について、二元配置分散分析を用いて検討した。統計処理は、統計ソフト(SPSS 12J・SPSS社)を用いて解析した。
【結果および考察】安静時と比較して運動時では、活動筋での酸素需要量が増加し、運動筋血流および運動筋酸素利用が変化する。とくに運動を継続するために運動筋での血液からの酸素抜き取りが増加し、運動筋への酸素利用が増加するが、その程度は運動様式や負荷強度によって異なる。また末梢での筋の血流調節機構や運動筋の酸素利用能力といった運動筋酸素動態に関与する諸因子は加齢により影響を受けることが考えられる。しかし,本研究では、%FBFNIRSの2群間での測定条件間の推移に有意差が認められず、%VO2NIRSも同様の結果が得られ、この結果より、負荷強度の違いによる筋血流および筋酸素利用率の変化パターンは、年齢による影響が少ないものと考える。
著者関連情報
© 2005 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top