理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 489
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理学療法基礎系
昇段動作における下肢運動パターンの一考察
―段差高の違いによる分析―
*谷田 惣亮白星 伸一山崎 敦分木 ひとみ林 寛阿部 真二武富 純子木村 智子宇於崎 孝水谷 名砂川 勇
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抄録
【はじめに】
 昇段動作は,主に下肢関節の複合運動によって行われるものである.我々は,第39回日本理学療法学術大会において異なる段差高での昇段動作を行った際の,足尖と段差との距離について検討を行った.そこで今回,3種類の異なる高さの段差を昇段した時の,下肢関節(股・膝・足関節)の運動パターン変化について分析した.
【方法】
 対象は健常男性20名(年齢22.9±3.7歳,身長170.9±4.7cm)である.被験者には,10cm,20cm,30cmの高さの段差をランダムに昇段させた.動作解析には三次元動作解析装置(アニマ社製)を用い,腸骨稜上端,大転子,膝関節裂隙,外果,第5中足骨頭,母趾先端背側面にマーカーを付け下肢関節角度を求めた.
 解析は,動作開始より母趾先端部の段差上への接地までを全動作とし分析した.下肢運動パターンの比較のため,股・膝関節の最大屈曲と足関節の最大底屈および背屈となる時期を抽出した.それらの出現時期は,全動作を100%として正規化し相対的時間を算出した.これらの点について3種類の段差間で比較し,昇段時の下肢運動パターンについて検討した.統計学的処理には分散分析を用い,有意差が認められた場合は多重比較検定を行い,危険率5%未満をもって有意とした.
【結果】
 各時期の算出により,すべての段差において足関節最大底屈,膝関節最大屈曲,足関節最大背屈,股関節最大屈曲の順に出現するという運動パターンがみられた.
 各段差における下肢関節角度の出現時間を示すと,膝関節最大屈曲は,段差10 cmが44.8±7.6%,20 cmが48.0±6.0%,30cmが49.6±4.8%となり段差10 cmに比べ30cmで遅延した(p<0.05).股関節最大屈曲は,段差10 cmが60.4±9.0%,20 cmが61.0±6.4%,30 cmが64.3±5.8%となり,段差が高くなるにつれて遅延する傾向を示した.足関節最大背屈は,段差10 cmが55.3±8.1%,20 cmが53.2±6.7%,30cmが56.6±7.8%となった.足関節最大底屈は,段差10 cmが30.7±10.4%,20 cmが31.0±8.2%,30cmが30.1±7.7%となり,足関節最大底背屈においては段差間で有意な差は認められなかった.
【考察】
 下肢運動パターンの指標とした関節角度変化の各時期の出現は,異なる段差高においても同じ傾向を示していた.このことから,昇段動作における下肢関節は一定の規則性をもって連動して機能している可能性が推測される.しかし,足関節は段差高の違いによる有意な変化はみられないものの,股・膝関節においては最大屈曲の出現時期が遅延する傾向を示す結果となった.これらのことから,昇段動作はある一定の運動パターンをもって遂行されるが,段差が高くなるにつれて股・膝関節の連動された制御が行われていると考える.
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© 2005 日本理学療法士協会
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