理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1082
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理学療法基礎系
当院における三次元動作解析装置の臨床応用への試み
*小林 友美波多腰 峰子町田 史織木島 浩美西 宏和伊藤 嘉春
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抄録
【はじめに】
機器使用による歩行分析は信頼性・再現性が高いものの、一般に高額で処理に時間がかかる、測定環境を確保しにくいなどの問題があり、臨床の場での日常的な使用は困難なことが多い。当院では、三次元動作解析装置(以下、3D)の導入を契機に、臨床の中で応用可能な環境設定やシステムを検討したので、その紹介と事例について報告する。
【環境設定・システムの紹介】
当院では、週に一度歩行動作解析の時間を設け臨床に応用している。解析の対象は独歩可能な患者とし、3D(キッセイコムテック社製キネマトレーサー)を用いて理学療法施行前に8mの自由歩行を3回行った。自由歩行中3mの画像を撮影、三次元化し分析した。解析ソフトの身体指標点14箇所(左右の肩峰・肘関節外側上顆・橈骨茎状突起・大転子・膝裂隙・外果・第5中足骨頭)に直径20mmの蛍光マーカーを貼付し、4台のデジタルビデオカメラで追跡した。外光を遮断した室内で背景及び床面を黒い生地で覆い、歩行する床面には黒のラバーマットを敷いた。患者も黒い衣服を着用し、得られる三次元座標と関節角度に違いが生じないよう、衣服を黒のテープで固定するなど工夫した。これらの作業は、スタッフ全員の参加と協力、外光の影響を受けない環境、解析ソフトによる処理能力の向上などによって、臨床の場でも十分応用が可能である。
【事例紹介】
症例1:55歳・男性、右大腿骨頚部骨折及び骨幹部骨折で髄内釘固定術施行。術後7週目で全荷重歩行開始。全荷重歩行開始から1週後の歩行を測定し解析ソフトによって得られたデータに基づき問題点を抽出した。解析結果より両股関節の伸展角度は、右-18.6°・左-14.0°と著しく減少していることが明らかとなった。そのため股関節に着目して治療プログラムを再検討し理学療法を施行した。初回測定日より7日後、同条件にて測定したところ、歩行時の股関節伸展角度は右-8.1°・左8.5°へと大幅に改善され正常歩行に近づいた。症例2:88歳・女性、左片麻痺。発症後4週目に独歩可能となり、歩行を測定・解析した。測定時のBrunnstrom stageは上肢4・手指3・下肢5であった。解析結果より、重心動揺と体幹の最大前傾角度(15.5°)に着目し、治療プログラムを再検討・実施した。初回測定日より7日後の歩行では、体幹の最大前傾角度が8.2°となり、重心の動揺も減少した。
【考察】
3Dによる歩行障害の数量化によって、観察者間での差異をなくし、客観的に前データとの比較ができるようになった。また、患者(あるいは対象者)にビデオや数値を示すことによって、運動機能の変化をわかりやすく説明できる。今後の課題として、平常環境での測定を可能にすること、3Dによる歩行解析のクリティカルパスへの標準化があげられる。
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© 2005 日本理学療法士協会
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