理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1081
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理学療法基礎系
複合面運動と一面運動における股関節屈曲筋力増強効果の比較
*広島 玲子
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抄録
【目的】筋力低下は臨床理学療法で頻繁に取り上げられる問題の一つであり、筋力増強を目的とした運動療法は疾病、障害を問わず幅広い患者層に処方されている。筋力トレーニングでは、主働作筋に対して高負荷下で屈曲・伸展のみのような一面上の運動がよく行われるが、人間の日常生活やスポーツ場面では屈曲に外転・内旋を伴うなどの複合面上を動く機能的動作が多く、一動作で多くの筋肉や関節を使う。人の動きと同じ複合面上の運動は、一面上での運動と比べこれら動作においてより効果をあげる事ができるのではないかと考える。本研究では、Proprioceptive Neuromuscular Facilitation(以下PNF)パターンを応用した複合面運動とStraight Leg Raise(以下SLR)を用いた一面運動を6週間トレーニングし、その股関節屈曲筋における筋力変化を比較、検討することを目的とした。
【方法】対象者は18~25歳の健常男性で、非運動群10名、複合面運動群11名、一面運動群11名の計32名であった。非運動群を含む全対象者は6週間の運動トレーニング開始時および終了時に、等速度性筋力測定機器(Cybex6000)を使用して、股関節屈曲筋における最大トルク・体重比を測り、3群間で筋力増強効果を比較検討した。運動群は、週3回の割合で指示された運動を6週間継続して実施した。本研究では、複合面上で同時に各運動方向(三次元)に抵抗を加え、その抵抗量を定量化するために被験者に滑車を用いて重錘を上げさせた。抵抗量は各被験者の8 Repetition Maximum(指示された運動を正しい方法で代償動作なく8回継続して施行できる重さ)を目安とし、理学療法士は滑車からの最大抵抗量や運動方向を毎回設定し、その抵抗量で3セット繰り返させた。6週間のトレーニング期間中には対象者の筋力増強能力に応じ適時抵抗量を増加した。
【結果】運動群はトレーニング前と比較して股関節屈曲筋力は増強を示した。複合面群は一面群よりも低負荷下運動であったにもかかわらず、より筋力増強の傾向を示したが、三群間では統計的有意差はなかった。
【考察】本実験で複合面運動群が施行したPNF運動パターンに類似した運動が、神経筋機構へのPNF促通効果として報告されている運動ニューロンの興奮や中枢神経への覚醒、活性効果を起こし、筋力増強メカニズムにおける神経要因を刺激し、一面運動より筋力が増強したと推測する。一方、高負荷下での一面運動は股関節屈曲筋および周囲筋が主働作筋としてよりも主に骨盤・下肢の安定性維持に働いたと推測する。本研究の結果より股関節屈曲筋においてPNF運動パターンに類似した複合面運動はSLR一面運動と比べ、低負荷下で筋力増強効果が高い可能性が示唆された。
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© 2005 日本理学療法士協会
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