理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1089
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理学療法基礎系
健常成人における直立時の足趾接地に関する基礎的研究(2)
―足趾接地と重心との関係―
*恒屋 昌一臼井 永男南里 有希
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キーワード: 足趾接地, 浮き趾, 重心
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抄録
【はじめに】昨年我々は,足趾接地についての判定法を開発し,その試案をもとに,健常成人を対象に直立時の足趾接地の実態について調査し本学会に報告した。今回,新たに足趾接地の状態と重心位置に着目して研究を進め,興味ある知見を得たので報告する。
【対象】16歳から49歳までの直立能力に影響を及ぼす疾病等のない地域在住の健常な成人で,本研究の主旨を説明し測定に同意を得た男性50名(平均年齢31.2±10.2歳),女性105名(平均年齢29.4±11.0歳)の計155名310足。
【方法】スタビロスコープ(パテラ研究所製)上に被験者を直立させ,視点を注視した開眼閉足位にて,サンプリング周期50msecで20秒間の重心動揺測定を行い,重心位置の算出および動揺が安定した時点の接地足裏画像を抽出した。重心位置は,足長に対して踵を0,つま先を100とした前後方向の%で算出した。なお,薄い靴下程度なら接地面の抽出に影響がないことから,靴下等は着用したまま測定した。足趾接地の判定は1趾につき,grade G:完全接地,grade P:不完全接地,grade U:無接地=浮き趾とし,個体における総合的判定として,レベル1:両足のすべての足趾がG,レベル2:両足のいずれかの足趾にPあり,レベル3:片足に単独もしくは複数趾にUあり,レベル4:両足の小趾にのみUあり,レベル5:両足に単独もしくは複数趾にUあり,レベル6:他趾の状態にかかわらず,両足拇趾にPないしUあり,の6つの接地足趾レベルを判定した。この判定結果をもとに,全被験者をレベルごとに6群に分け,前後方向の重心位置との関係について検討した。なお統計解析は,飛び離れ値を棄却した後,t検定を用いて解析した。
【結果・考察】各接地足趾レベルは,レベル1から6まで,それぞれ42名,29名,37名,23名,19名,5名であった。全被験者の重心の平均は43.5±6.5%で,藤原らの1984年の報告とほぼ一致した。全体的に重心はレベル1から6になるにつれ,踵よりに後退する傾向がみられ,とくに,足趾の接地が良好なレベル1が45.2±6.7%,両足の小趾に浮き趾がみられるレベル4では42.1±3.8%と,レベル4では,有意に重心が踵よりであった(p<0.05)。しかし,レベル5および6は,重心が後退している傾向があるものの,レベル1と有意差はみられなかった。内田らは,浮き趾が重心位置と関係していることを述べているが,本研究によって,具体的な足趾の接地状態と重心との関係が明らかとなった。つまり,足趾接地の不良,とりわけ両足小趾の浮き趾の存在(レベル4)は,重心の後退との関係が強く示唆され,レベル5ないし6の状態では,接地良好なレベル1と有意差がないことから,重心位置以外の足趾の変形など,他の要因が複雑に関与しているものと思われた。
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© 2005 日本理学療法士協会
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