理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1094
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理学療法基礎系
下肢筋力が片脚立位保持と重心動揺に及ぼす影響について
*宮崎 純弥山下 輝昭寺本 咲子根岸 志保相馬 正之小野 武也吉村 茂和
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抄録
【はじめに】
 本研究の目的は、膝伸展筋力、膝屈曲筋力、股外転筋力が片脚立位保持の可否と重心動揺に及ぼす影響を明らかにすることである。
【方法】
 対象は若年女性群9名(若年群:平均年齢27±4歳、身長163±5cm、体重54±8kg)と高齢女性群10名(高齢群:平均年齢67±7歳、身長155±6cm体重54±7kg)である。若年群と高齢群ともに下肢に障害がなく、ADLは自立していた。なお、測定の前に十分な説明をおこない実験参加への了承を得た。課題は両群ともに膝屈伸筋力、股外転筋力、片脚立位保持とした。筋力の測定にはハンドヘルドダイナモメーター(アニマ社製μTas F1)を使用し、全被験者とも右下肢について測定した。測定肢位は膝屈伸筋力が端座位で膝関節90度屈曲位、股外転筋力が側臥位で股関節内外転0度とし、それぞれベルトで固定した。各筋力は等尺性最大随意収縮で3回試行し、最大値を筋力値とした。得られた筋力値は各被験者の体重で除し体重比とした。片脚立位保持は重心動揺計(アニマ社製)を使用して30秒間の静止片脚立位とし、サンプリング50Hzで計測し、重心動揺距離、矩形面積、実効値を算出した。統計処理は、ピアソンの相関係数と対応のあるt検定を使用し危険率5%未満を有意とした。
【結果】
 高齢群のうち3名が片脚不可能であった(高齢不可群)。そこで、若年群、高齢群、高齢不可群に分けて体重比を処理したところ、若年群、高齢群、高齢不可群の順に、膝伸展2.2±0.2、1.8±0.1、1.3±0.2Nm/kg、膝屈曲は0.9±0.1、0.5±0.1、0.4±0.1Nm/kg、股外転は1.3±0.1、0.9±0.1、0.5±0.1Nm/kgであり、高齢群と若年群および高齢不可群と若年群との間にそれぞれ有意差を認めた。また、高齢不可群の体重比は高齢群の体重比に比べ、それぞれ膝伸展74%、膝屈曲72%、股外転56%であった。相関は高齢群(n=7)の股外転体重比と重心動揺距離との間に有意な相関(r=.934 p<0.001)を認め、それ以外は相関は無かった。
【考察】
 ADLが自立しているのにもかかわらず、3名の高齢者は片脚立位保持が不可能であった。これら高齢者では、股外転力の低下が著明であり、股外転力が片脚立位保持に強く影響を及ぼしている可能性が示唆された。このことから、下肢に障害を有する高齢者は、さらに筋力低下傾向を示すことが予想される。今回は被験者数が少なく、また筋力だけではなく他の要素も加味し総合的な検討を行なう余地があり、被験者数を増やし、総合的な観点から研究を継続していきたい。
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© 2005 日本理学療法士協会
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