理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 52
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神経系理学療法
視床出血での脳磁図を用いた麻痺側上肢機能回復予測
―体性感覚誘発磁界による予備的研究―
*吉田 英樹近藤 健男中里 信和
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抄録
【目的】本研究の目的は、視床出血の急性期から体性感覚誘発磁界(somatosensory evoked magnetic field: 以下、SEF)を測定し、急性期SEF所見と発症後3ヵ月での運動麻痺及び感覚障害、麻痺側上肢機能回復との関連性を調査した上で、SEFを用いた麻痺側上肢機能回復予測の可能性を検討することであった。
【対象と方法】対象は、視床出血例9例(男性4人、女性5人、年齢61.4±10.0歳)であった。SEFの測定は、204チャンネル全頭型脳磁計を使用し、麻痺側手関節部正中神経への電気刺激を用いて視床出血発症後72時間以内(以下、急性期)に実施した。SEFの解析では、潜時約20msの第1波(以下、N20m)から潜時100msまでの麻痺側正中神経SEF皮質成分の内、最も潜時の短い反応についてその信号源を単一等価電流双極子モデルにより推定し、その結果から対象を病巣側大脳半球体性感覚野由来の反応が認められる「反応群」と反応が認められない「無反応群」の2群に分類した。麻痺側上肢評価は、急性期と発症後3ヵ月の2回実施し、運動麻痺(上肢及び手指12グレード)と感覚障害(母指探し試験)、上肢機能(片麻痺上肢能力テスト)を評価した。急性期麻痺側正中神経SEF所見と発症後3ヵ月での運動麻痺、感覚障害、麻痺側上肢機能回復との関連性については、前述の反応群と無反応群間での発症後3ヵ月での麻痺側上肢に関する各評価項目を比較した。統計学的検討ではMann-WhitneyのU検定を行い、有意水準は5%未満とした。
【結果】急性期麻痺側正中神経SEF所見で反応群となった症例(6例:N20mは4例で認められたが、他の2例ではN20m以降の成分しか認められなかった)は、無反応群となった症例(3例)と比較して、発症後3ヵ月での運動麻痺、感覚障害、麻痺側上肢機能が有意に良好であり、特に反応群の上肢機能については1例を除く全例が実用手まで回復した。
【考察】片麻痺例での麻痺側上肢機能の決定因子としては、運動麻痺だけでなく感覚障害の程度も重要であるが、視床出血急性期での麻痺側正中神経SEF所見は、発症後3ヵ月での運動麻痺及び感覚障害の予後に加えて麻痺側上肢機能予後とも関連しており、本所見が麻痺側上肢機能予後予測指標と成り得る可能性が示唆された。視床出血での頭皮上脳波による体性感覚誘発電位を用いた麻痺側上肢機能予後予測に関する先行研究では、予後予測指標として第1波以降の成分は、反応の個人差や信号源不明確などの理由からあまり利用されていなかった。SEFを用いた本研究結果は、体性感覚誘発反応の第1波以降の成分についても、信号源を確認した上で麻痺側上肢機能予後予測指標と成り得る可能性を示唆しており、SEFは視床出血例での麻痺側上肢機能の客観的予後予測に寄与すると考えられる。
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© 2005 日本理学療法士協会
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