理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 126
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神経系理学療法
脳卒中片麻痺者を対象とした臨床的体幹機能検査の構造分析
*原田 慎一奥田 裕荻野 禎子小澤 佑介江連 亜弥内山 靖
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抄録
【はじめに】
脳卒中片麻痺者は筋緊張の異常や随意性、感覚障害など様々な影響から、上下肢だけでなく体幹も選択的な運動が阻害される。これをパフォーマンスにて半定量的に示す臨床的体幹機能検査(Functional Assessment for Control of Trunk:以下FACT)は、静止座位からより選択的な運動項目を含んでおり、これまでの研究から信頼性や妥当性だけでなく治療指向的な側面も示唆されている。本研究では、脳卒中片麻痺者を対象としたFACTの構造を検証して、体幹機能の評価要素を明らかにすることを目的とする。

【方法】
1、対象:2003年から2004年にA院に在院し、研究に対して同意を得られた、指示理解可能な脳卒中片麻痺者113名(男性77名、女性36名。平均64.3±12.5歳。脳梗塞59例、脳出血48例、クモ膜下出血3例、その他3例。右片麻痺52例、左片麻痺58例、両片麻痺3例。)で、発症日から測定日までの期間は平均99.3±48.5日であった。対象者に対して1~4回の検査を行い、延べ264回分のデータを収集した。
2、検査課題:FACT(10項目20点満点:以下項目順にT1~T10)
3、解析手順:統計ソフトはSPSS(Ver.10.0.7j)を用い、以下の手順で解析を行った。
A.因子分析
-a.Kaiser-Meyer-Olkin(以下KMO)のサンプリング適正基準にてデータの有効性を検証した。
-b.初期固有値からKaiser基準やスクリー基準を検討し、因子数を仮定した。
-c.仮定された因子数に対し各々因子分析を行った。因子抽出法は最尤法とし、因子軸回転法は斜交回転であるKaiserの正規化を伴うプロマックス法(k係数=4)を用いた。
B.重回帰分析:基礎データとして機能的自立度評価法(以下FIM)の歩行項目とBrunnstrom recovery stage(以下BRS)が得られた104名に対し、それぞれ従属変数をFIM歩行項目、独立変数をFACTの下位項目、各BRS、年齢、発症からの期間、性別としたステップワイズの重回帰分析を行った。

【結果と考察】
A-a.KMOのサンプリング適切性基準は0.87であった。
A-b.初期固有値及びスクリープロットグラフから因子数を2~5と仮定した。
A-c.テスト項目の分類が最も良かったのは、因子数が5の時であった。第一因子はT3~T6(因子抽出後の寄与率29.7%)、第二因子はT1、T2(同23.3%)、第三因子はT9、T10(同12.0%)、第四因子はT7(同4.4%)、第五因子はT8(同4.6%)であった。
B.全ての独立変数が投入され、T2、T4、T6、T7、T8が採択された(R=0.86、調整済みR2乗=0.730)。
以上の結果から、臨床的体幹機能検査は異なる体幹機能要素を包含した指標で、下肢・骨盤の随意性を保障するための固定や、体幹自体の運動などの異なる要素で構成されていることが臨床データの解析からも支持された。
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© 2005 日本理学療法士協会
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