理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 295
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神経系理学療法
脳血管障害患者の振り向き動作(第2報)
―歩行能力による比較―
*玉利 誠多々良 大輔田邉 紗織
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抄録
【はじめに】近年、Berg Balance Scale(BBS)と脳血管障害患者の歩行能力との関連性について多数の報告があり、その有用性が示されているが、検査項目別にみると「左右の肩越しに後ろを振り向く」「360度回転」など、より動的なバランスを必要とする項目において得点率が低いことも報告されている。このことから、我々は振り向き動作に着目し、脳血管障害患者の歩行能力と振り向き動作の関連について検討したので報告する。
【対象と方法】屋内歩行自立群7名(66.6±6.45歳、発症後117.7±78.7日、SIAS下肢機能12.1±2.0点)と監視群6名(55.8±11.8歳、発症後191.3±50.0日、SIAS下肢機能6.7±2.3点)。著明な高次脳機能障害、痴呆、関節可動域制限、感覚障害のある者は除外した。測定は非麻痺側方向への振り向き動作を第39回本学会で報告した方法と同様に行い、アニマ社製三次元動作解析システムLocus MA-6250を用いて床反力、関節モーメント、関節運動角度、COP軌跡、パワーを抽出した。更に10m歩行時間を3回計測し平均値を求め、各パラメータについてMann-WhitneyのU検定を行った。
【結果】両群間で10m歩行時間、麻痺側下肢床反力鉛直成分(P<0.01)及び前方成分(P<0.05)に有意差を認めた。また、自立群では麻痺側膝関節伸展モーメント、合成COP(前方最大値-開始時)において高値を示す傾向にあった。非麻痺側下肢では床反力鉛直成分、膝関節屈曲モーメント、足関節底屈モーメントにおいて監視群が高値を示す傾向にあった。肩峰及び骨盤の回旋、両側の膝・足関節運動角度に有意差は認められなかった。膝及び足関節は両群とも求心性・遠心性収縮を繰り返す特徴的な波形を示したが、動作区間のパワー積分値に有意差は認められなかった。
【考察及びまとめ】健常人10名を対象とした事前研究により、振り向き動作では回転方向と反対側の下肢による支持及び膝関節伸展モーメント、足関節底屈モーメントを利用した制御が重要であると考えられたため、今回は特に両群における麻痺側下肢に着目した。自立群は監視群に比べ支持性が高く、動作時に麻痺側下肢を支持脚として使用することができ、また、合成COPの前方移動を膝関節伸展筋の活動により制御する傾向にあったと考えられる。対して監視群では非麻痺側下肢への荷重偏位、過剰な膝関節屈曲モーメント、足関節底屈モーメントにより姿勢制御を代償しているのではないかと考えられる。これらのことから、歩行能力が高い者ほど動的な姿勢バランス制御に麻痺側下肢を参加させることが可能である傾向がうかがえ、振り向き動作において麻痺側下肢の荷重と制御を促すことで、BBS得点の向上、更には歩行能力の改善が期待される可能性が示唆された。今後症例数を重ね再検討していきたい。
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© 2005 日本理学療法士協会
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