理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 20
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骨・関節系理学療法
慢性足部痛患者の足囲・足長の推移
*田中 尚喜地神 裕史矢部 裕一朗
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キーワード: 足囲, 足長, 靴の適合性
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抄録
【目的】足部のトラブルの原因としては、ヒールの高さなど靴の形態や構造、履き方などがあげられている。靴と足の適合性は最も基本的な事項であるが、流通・販売を通して十分に考慮されているとはいい難い。そこで当院では、平成11年より足外来にて、種々の足部疾患への対応として、一般的な整形外科的な評価に加えて、足囲・足長の測定を行い、靴選びの指針として靴の構造などとともに治療の一環として指導を行っている。治療経過とともに、足囲・足長が変化し、「靴が緩くなった」との訴えも聞かれるようになる。そこで、当院の指導内容に即した形で靴の購入・着用し6ヶ月以上加療を行った患者の足囲・足長の推移について検討を行うと同時に靴指導の有効性について検証する。
【方法】慢性足部痛を主訴に訪れ、6ヶ月以上加療した患者167 名の内、再診時足囲・足長の計測およびレントゲン撮影ができた23名(男性3名、女性20名)を対象とした。足囲・足長はサイズワイジングデバイス(New balance社製)を用い、立位にて同一検者によって測定が行われた。また、楔状骨、立方骨にかけて手で圧迫を加えた状態での足囲・足長についても同時に測定を行った。レントゲン写真からは、M1M5角、および横倉法のN点・C点を加えて、初診時、および再診時の推移を比較した。統計処理には、統計パッケージSPSS(Ver.12J)用いて検討を行った。
【結果】足囲では、通常および圧迫を加えたものとも有意に減少したが、足長では右足の圧迫を加えない状態のもののみ有意な減少を認めた。その他の項目は、減少傾向はあるものの有意ではなかった。再診時においても多くの症例で開張足、扁平足の状態を呈していたが、全ての症例で除痛効果が認められていた。また、足囲・足長の変化量と治療経過期間の間では、右通常の足長、右圧迫の足囲のみ有意な相関関係が認められた。
【考察】今回の結果から適切な靴の着用によって、足囲に関しては適正な状態に近づく援助ができていた可能性が示唆されたが、足囲に影響を与えると思われるM1M5角は有意には減少していなかった。このことから足囲は、骨格以外の組織の状態変化の影響が強いことが示唆されたが、治療期間の影響もあるため運動療法との関連性などを含めて検討していく必要性があるものと考えられた。
 慢性足部痛患者では、種々の外科的治療法や足底挿板などによる保存療法も実施されているが、今回の結果から日常生活に密着している履物としての靴と足の適合性についても検討を行っていく必要性があるものと考えられた。
 したがって、慢性足部痛患者においては、疾患特異性、個人差を考慮した足底挿板を設置するとともに、足囲・足長に適合した靴を着用できるよう指導し、販売・流通においてこれらの靴選びをサポートするよう関係団体に働きかけていくことが、治療のみならず予防的観点からも重要であるものと推察された。
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© 2005 日本理学療法士協会
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