理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 19
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骨・関節系理学療法
関節リウマチの足関節装具処方のタイミング
*加藤 新司
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抄録
【はじめに】関節リウマチ(以下RA)の足関節障害は、荷重動作障害に加え、隣接関節や下肢中枢側へも問題を引き起こす。PTは、このような問題に対し装具療法を考えるが、RAのように病期が長期的になるとその処方時期に悩むこともしばし経験する。また装具療法により疼痛軽減の効果報告はみられるが、その処方のタイミングについての報告は少ない。そこで今回、装具処方のタイミングについて臨床症例を通して検討、考察する。
【症例紹介】40歳、女性、診断名RA。職業:歯科助手。平成14年7月より当院受診、この時点のX線所見は右足stage1であった。翌年15年4月より外来リハ開始。内科所見は、CRP1.3mg/dl、ESR125mm/h。理学所見は、右足関節疼痛、内外反運動時VAS5.3、腫脹なし、ROMは正常であった。PTの装具処方に対する主観的判断は、「疼痛のみで足関節ROMが正常なのでまだ早い」と判断した。同年6月の所見では、CRP4.5mg/dl、ESR123mm/h。疼痛悪化、VAS6.5、腫脹強く熱感あり。ROMは、内外反で低下し、腫脹の影響もあり内外反とも5°、内側縦アーチの低下がみられた。X線所見は、距骨下関節の狭小化に加え繊維、軟骨性癒合もみられstage2であった。この時点でアーチの低下があり外反位荷重だったので固定装具の適応と判断した。しかし腫脹が強かったのでソフトサポーターのみの処方とした。同年8月では、CRP0.9mg/dl、ESR113mm/h、疼痛VAS10.0と悪化し、長時間立位や歩行が困難な状態であった。この時点で腫脹が減少し内外反5°位で骨性の拘縮に進行していた。PTは、「疼痛の悪化に伴い急速に内外反の拘縮に進行したためこのままサポーターで継続し骨化すれば疼痛は軽減する」と判断した。その2ヵ月後の10月に疼痛変わらず固定装具処方となった。現在、疼痛VAS1.0、底背屈15~45°、外反位5°固定で距骨下関節強直となり、固定装具は使用していない状況である。
【考察】本ケースにおける装具処方のタイミングは、1.疼痛のみある早期の処方、2.X線で変化のみられた時点での処方、3.疼痛が続く中、腫脹の落ち着いた時点での処方が考えられる。今回、1に関しては、ROMが正常で装具により拘縮をつくる恐れがあること、2に関しては、X線上の悪化、疼痛の悪化、荷重時の外反位接地など、装具を処方するに適した時期と考えたが、炎症性の腫脹があり可逆的なものと考え処方の時期とはしなかった。よって本ケースのようなstiffness typeの装具処方のタイミングは、炎症性の腫脹がない時期、X線上の変化やROM制限が出現する時期、荷重時の足部のアライメント不良がみられた時期などを病期、進行に合わせて処方する必要があると考える。
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© 2005 日本理学療法士協会
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