理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 150
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骨・関節系理学療法
上肢の静止性収縮による手関節自動運動改善の即時効果
*新井 光男清水 一田中 良美清水 Michele Eiseman松田 千里佐藤 由実柳澤 健
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キーワード: PNF, 関節可動域, 静止性収縮
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抄録
【目的】
上肢静止性収縮時の肩・肘関節の肢位と負荷量の相違が手関節屈曲の自動関節可動域 (AROM) と手関節屈曲の主動筋と拮抗筋の表面筋電図に及ぼす影響に差異が生じるかを検証した.

【方法】
上肢の整形外科疾患対象者は,神経学的な疾患がなく,手関節AROMが健側と比較し5°以上制限があり,手関節運動時痛みを訴える患者を対象とした.20名の患者群から無作為に10名抽出した.10名の平均年齢±標準誤差 (範囲) は32.7±2.8歳 (23-47歳)であった.男性5名,女性5名であった.
 肩・肘関節の肢位は固有受容性神経筋促通 (PNF) 肢位と非PNF肢位の2種を選択した.PNF肢位は,肩関節屈曲-内転-外旋・肘関節伸展・前腕回外とした.非PNF肢位は肩関節屈曲90°・肘関節伸展・前腕回内とした.負荷はピンチ力の最大随意収縮の30-40% (軽負荷) および70-80% (重負荷) の2種とした.AROM改善率は静止性収縮前のAROMと比較してパーセンテージ表示した.屈曲時の主動筋と拮抗筋の積分筋電図 (IEMG) 値は各々の筋の最大随意収縮時のIEMGと比をとり基準化した.

【結果】
1) 負荷と肢位の各組み合わせ (a)(軽負荷・PNF), b)(軽負荷・非PNF), c)(重負荷・PNF), d)(重負荷・非PNF)) での静止性収縮後の各計測値を以下に述べる.   
 AROM改善率 (a)2.83±3.00%,b)-1.36±3.61%,c)11.94±1.99%,d)1.28±4.40%),拮抗筋の積分値比(a)0.139±0.021,b)0.139±0.018,c)0.135±0.020,d)0.120±0.020),主動筋の積分値比(a)0.482±0.034,b)0.515±0.035,c)0.510±0.037,d)0.497±0.042).
2) AROM改善率の三元配置分散分析の結果,各要因間に交互作用は認められなく,重負荷は軽負荷より有意に大きな改善率を示し,PNF肢位は非PNF肢位より有意に大きな改善率を示した.また,軽負荷・非PNF肢位の組み合わせよりも,重負荷・PNF肢位の組み合わせの静止性収縮後のAROM改善率が有意に改善した.拮抗筋と主動筋積分値比の負荷と肢位に要因では有意差は認められなかった.

【考察】
AROMは改善したが,AROM改善率と積分筋電図値との関連性がなかった.よって,筋電図では表出されない,強い負荷による手内筋の収縮後の筋の粘弾性の変化等により,手関節AROMが改善された可能性が考えられる.また,回旋の要素を含んだPNF肢位による上位中枢の変化の各要素により,手関節AROMの改善につながった可能性も考えられる.いずれの機序であったとしても,本研究では改善した理由は明らかにできなかった.
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© 2005 日本理学療法士協会
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