理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 320
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骨・関節系理学療法
Morton神経腫切除後、バスケット選手の早期競技復帰
*倉田 勉矢内 宏二工藤 裕仁鮫島 康仁
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抄録
【はじめに】
Morton神経腫は中年以降の女性に好発する有痛性足部疾患で、保存療法により疼痛は緩和されることが多い。今回、我々は長期にわたるスポーツ時の疼痛を主訴として、手術に至った症例を経験したので報告する。
【症例紹介】
22歳、女性、バスケット競技歴12年、診断名は左足Morton神経腫(第2・3/第3・4趾間)であった。症状は中学時代より出現し、過去に局所麻酔等の保存療法により疼痛は一時的に緩和するものの持続せず、当院を受診した。当院でMRIによる精査を行い、加療歴、復帰を希望する試合までの期間を考慮し、神経腫切除が選択された。
【手術所見】
手術は早期荷重を目的に足背の第3・4趾間より展開し、深横中足靭帯を縦切して神経腫に至った。神経腫はできる限り遠位方向に牽引し、鋭利に切離した。第2・3趾間は皮切部を拡張させ、同様の手順で神経腫の切除を行った。
【理学療法経過】
手術翌日より足趾・足関節の自動運動を開始し、術后2週までは踵荷重でのLeg press、腓骨筋ex.を行い、踵歩行とした。前足部の荷重が許可された術后2週からは足底全面接地でのSquat、Balance ex.を中心に施行した。この時点でのSquatはknee inしており、支持は良好といえなかった。術后4週で歩行時に軽度の疼痛を残すも破行は消失していた。術后5週にてシューズを履いてつま先立ちが可能となり、Insoleを挿入してのJoggingを開始した。Insoleは内側縦アーチ、中足骨部の横アーチを保持した構造で、前足部には衝撃緩衝素材を用い、最下層は前足部の蹴りだしをサポートできるよう若干の剛性を有する素材を用いた。同時期には、活動レベル向上と体幹・下肢の安定した支持を目的とし、Lunge等のexerciseを取り入れた。また患部以外の個々の筋力強化も継続した。術后7週で30分のジョギングが可能となり、術后8週時点では負荷をかけてのSquatでも徐々に安定した支持が可能となり始めた。この時、強い踏み込み時のみ残存していた前足部痛も徐々に軽減していった。術后3ヶ月にて疼痛は消失し、競技に完全復帰した。
【考察】
本症例は前足部の荷重分散能力が低下した結果、深横中足靭帯と足底趾神経の間で摩擦ストレスが繰り返され、症状に至ったと考えられた。初期よりスポーツ動作での安定支持のため、個々の筋力強化を進めつつ、荷重時の足部アーチの保持に主眼を置き、治療を進めた。その際、Insoleを補助的手段として利用することにより早期復帰を可能とした。また強い踏み込みや素早いターンでも動作が安定するよう、バスケットの競技特性を踏まえたCKCでの協調性トレーニングを積極的に施行した。結果、活動量が増加する中で足部痛は出現せず、試合に出場することが可能となり、良好な結果を得たと考えられた。
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© 2005 日本理学療法士協会
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