理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 319
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骨・関節系理学療法
シンスプリント症例の足部アライメントについて
*武田 さおり尾田 敦一戸 美代子齊藤 千恵美平山 優子蛯子 智子鈴木 樹里
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抄録
【はじめに】シンスプリントの発生要因は,後脛骨筋,長母趾屈筋,長趾屈筋,ヒラメ筋の脛骨起始部に繰り返し加えられるストレスによる骨膜の炎症であるとする説が多い。そのため足部の柔軟性が高い過回内足や足アーチが低下した扁平足では本症が発症しやすいとされている。しかし,我々は決して足部柔軟性が高くないにも関わらず本症を発症した症例を多数経験している。そこで,後方視的に診療録から本症における足部アライメントの特徴等を調査した。
【対象と方法】当院にてH15年5月~H16年9月までの間にシンスプリントと診断されリハ処方された29名(男11名,女18名)の58足を対象とした。年齢15.4±1.3歳,身長165.3±8.3cm,体重59.7±12.6kg,BMI21.6±3.1であった。スポーツ種目は陸上・バスケットボールが大多数であった。足部アライメントの評価項目は,前足部可動性・後足部可動性・足アーチ高・踵骨外反傾斜角・leg-heel angle(LHA)の5項目である。前足部および後足部の可動性は非荷重位にて「柔軟・正常・低下」の3段階に分類し,足アーチ高の評価には荷重位での舟状骨高(mm)を足長(mm)に対する比で表すアーチ高率(%)を用いた。踵骨外反傾斜角・LHAは足部回内の程度をみる指標として荷重位で測定した。統計処理には多重比較(Tukey検定),Pearsonの積率相関係数を用いた。
【結果と考察】前足部可動性は低下・正常群が多く柔軟群は少ない傾向にあった。後足部可動性は正常・柔軟群が多く低下群は少ない傾向にあった。アーチ高率は,前足部可動性の低下群が正常・柔軟群に比較して有意に低く,逆に後足部可動性の柔軟群が低下・正常群に比較して有意に低かった。すなわち,前足部可動性が低下し,後足部可動性が柔軟なほど足アーチが低下しており,シンスプリントになりやすい傾向が示唆された。また,全症例のうち測定することができた13名26足の踵骨外反傾斜角とLHAとの間に有意な正の相関を認めた(r=0.677)。踵骨外反傾斜角およびLHAは,ともに前足部可動性の程度による有意差を認めなかった。後足部可動性においても同様であった。これら26足のLHAの平均値は9.2゜で,正常とされる5゜より大きく,内反膝や脛骨内弯の大きさを反映している結果ではないかと考えられた。
 以上の結果から,シンスプリント症例の足部アライメントの特徴としては,前足部の柔軟性が低下し,逆に後足部の柔軟性が高い傾向にあった。これにより歩行や走行などで前足部荷重の際に前足部の柔軟性の低さを後足部の可動性で代償して過度に回内させている可能性が示唆された。また,骨形態では内反膝や脛骨の内弯の大きさも要因の一つと考えられ,相対的に脛骨に対する踵骨の回内の程度が大きくなることで足部外側荷重になりやすく前足部の柔軟性が生じにくいのではないかと推測された。このことは,今回の被験者のほとんどが足関節内反捻挫の既往を有していたことからも裏付けられると考えられる。
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© 2005 日本理学療法士協会
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