理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 337
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骨・関節系理学療法
頚椎回旋運動と肩甲骨の運動連鎖について
*石嶺 友恵山本 尚司
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キーワード: 頚椎回旋, 肩甲骨, 運動連鎖
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抄録
【目的】肩関節における肩甲骨の役割については多くの研究がされており、肩甲胸郭関節など体幹機能との関係についての報告も多くみられる。臨床においては、肩甲骨は上腕骨との関係だけでなく、頚部・体幹など隣接部位との運動連鎖を評価しながら考察していく必要性を感じる。今回我々は頚椎回旋運動(以下NRM)と肩甲骨の運動連鎖に着目し、NMRと肩甲骨移動距離(以下SMD)の関係について調査したので報告する。
【方法】対象は健常成人男性3名(平均年齢29.0±2.6歳)、女性6名(平均年齢29.7±5.3歳)の9名18肩とし、利き手は全員右利きである。測定肢位は安静坐位・両上肢下垂位にて頚椎左右回旋可動域(可動側・制限側に分類)、肩甲骨可動域(内転・外転)、頚椎回旋に伴う肩甲骨内外転の移動距離をDiVetaらの方法に準じ、Th3から肩峰後角までの距離をメジャーにて測定し、頚部正中位での肩甲骨位と比較検討した。測定結果について以下の項目について分析した。1)NRMにおける左右のSMD、2)NRMとSMDの相関、3)肩甲帯可動域とSMD、4)頚椎回旋可動側・制限側間のSMDの差、以上の4項目について統計処理を行った。またNRMに伴う肩甲骨の運動パターンの分類を行った。
【結果】NRMに伴う肩甲骨の合計移動距離(右肩甲骨:2.4±1.4mm、左肩甲骨:3.8±2.1mm)。NRM可動側:(同側SMD:-0.4±2.0mm、反対側SMD:-0.6±2.8mm)。NRM制限側:(同側SMD:-0.4±1.6mm、反対側SMD:-0.9±1.7mm)。1~4)全ての検討項目において有意な差および相関は認められなかった。
NRM時の肩甲骨の運動パターンは、NRMと同側肩甲骨が1.内転方向へ移動7肩(反対側肩甲骨外転4肩、内転3肩)、2.外転方向へ移動6肩(反対側内転5肩、不動1肩)、3.不動5肩(反対側内転5肩)であり、NRMと肩甲骨の一定した運動パターンは認められなかったが、NRM同側内転群と不動・外転群の2群に分け動きのパターン別に検討した結果、NRM同側内転群にてP<0.05、不動・外転群にてP<0.01の有意な差が認められた。
【考察】今回の結果からNRMに伴う肩甲骨の運動は確認できたが、運動パターンは多様であった。これはNRMに伴う肩甲骨の運動範囲が小さく、個体差がでやすい運動連鎖であることが考えられる。臨床においては、NRMに伴う肩甲骨の動きのパターンが機能障害の一因となっているケースもみられ、考慮すべき運動学的現象であると考えられる。また健常成人においては、多様な動きのパターンが障害として顕在化していない可能性も考えられる。今後は測定方法や身体アライメントを考慮し、臨床データなども含めて再検討していきたい。
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© 2005 日本理学療法士協会
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