理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 343
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骨・関節系理学療法
腰部固定帯利用者の実態調査と有効性に関する検討
*菊本 東陽白土 修相羽 達弥
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抄録
【目的】
いわゆる腰痛症の治療には、保存的治療が第一選択肢となる。なかでも、腰部固定帯は腰痛症の急性期および慢性期を問わず、理学療法と並行して利用されている保存的治療手段の一つである。腰部固定帯の力学的効果は、運動の制限、腹腔内圧の上昇、体幹筋活動の抑制と考えられている。しかし、腰痛症に対する治療効果は否定的な報告が多く、明確にされていないのが現状である。事実、腰痛症者の中には腰部固定帯の腰痛緩和効果を認める者も多く、利用者の立場でもその治療効果について検討する必要がある。本研究の目的は、腰部固定帯利用者の実態、腰部固定帯に期待する機能、および腰痛緩和効果等に関する調査から、腰部固定帯の治療効果とその適応に関して検討することである。

【対象と方法】
対象は、’03.12~’04.3の期間にアルケア社製腰部固定帯を購入した者のうち223名とした。方法はアンケート調査とし、腰部固定帯購入時に調査表を配布し、郵送にて回収した。調査項目は、(1)腰痛の有無や部位などの利用者の基本的特性、(2)腰部固定帯に期待する効果と実際に感じた効果、(3)実際の腰痛の変化とした。

【結果】
調査表を回収できたのは、145名(回収率65.0%;男性109名、女性36名、平均年齢40.2±15.7歳)であった。(1)腰部固定帯利用者の基本的特性:調査時点の腰痛は、有る76%、無い24%であった(急性腰痛19%、亜急性腰痛16%、慢性腰痛43%)。痛みの部位は腰背部50%、背中からお尻の上部35%であった。腰痛時の活動制限状況は、運動がどうにか可能35%、たまに痛みがある21%、日常生活がどうにか送れる17%であった。腰部固定帯の使用期間は、1ヶ月未満37%、3ヶ月未満20%、6ヶ月未満7%であった。 (2)腰部固定帯に期待する効果と実際に感じた効果:期待する効果は、腰痛緩和40%、姿勢改善33%、不安の改善10%、日常生活の改善5%であった。期待する性能は、支持性43%、圧迫性19%、保温性12%であった。実際に感じた効果は、腰痛緩和47%、姿勢改善35%、不安の改善13%であった。(3)腰痛の変化:腰部固定帯装着前後の腰痛の変化は、VASによる評価で装着前5.2±2.1、装着後3.1±2.0と改善していた。さらに自覚的な改善度でも、やや改善した60%、改善した21%が改善しない5%、変化ない5%を上回っていた。

【考察】
本研究の結果から、腰部固定帯利用者の特性として、慢性腰痛で軽度の活動制限を有する者が多いことがわかった。腰部固定帯による腰痛緩和効果に関しては、腰痛緩和を指摘した者が対象者全体の80%を占め、腰部固定帯に期待する効果と一致し、疼痛緩和効果を認めた。腰部固定帯の適応に際しては、腰痛の有無のみならず、姿勢の異常、不安をはじめとした精神状態にも配慮する必要性が示唆された。
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© 2005 日本理学療法士協会
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