理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 344
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骨・関節系理学療法
大腿骨頚部骨折患者の転帰先別による移動能力の変化と問題点
*越後 靖子山野 香水本 善四郎
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抄録
【目的】大腿骨頚部骨折後の移動能力の変化に影響を与える因子を調査し、施設入所者と在院日数が長期化した自宅退院患者のデータから骨折後患者の抱える問題点を検討した。
【対象】平成15年1月から平成16年9月までに大腿骨頚部骨折受傷後に当院で入院加療した患者79名。内訳は自宅退院患者(以下自宅群)32名(男5名、女27名)、他施設からの入院で元の施設に戻った患者(以下施設群)35名(男5名、女30名)、自宅からの入院で転帰先が施設又は病院となった患者(以下変更群)12名(男2名、女10名)である。
【方法】1)3群間の年齢、在院日数を比較した(多重比較)。2)移動能力をFIMで評価し、3群の受傷前と退院時の変化を検討した(Wilcoxon signed ranks test)。更に受傷前と退院時の移動能力の差を3群間で比較した(多重比較)。3)自宅群の受傷前と退院時における屋内外の移動能力を比較した(Mann Whitney's U test)。4)自宅群で訪問指導や介護保険サービスの調整を必要とした患者(以下調整群)10名と必要としなかった患者(以下調整無し群)18名の年齢、在院日数、退院時屋外移動能力を比較し(Mann Whitney's U test)、更に合併症の有無を調査した(カイ二乗検定)。5)施設群の入所先の内訳を調査した。
【結果】1)年齢は自宅群76.1±11.4歳、施設群84.4±8.9歳、変更群82.91±9.9歳と自宅群と施設群間で差を認めた(p<0.01)。在院日数は自宅群65.1±29.2日、施設群27.7±14.8日、変更群39.7±28.2日と自宅群で長かった(p<0.01)。2)受傷前と退院時の移動能力は3群とも退院時で低下を示した(p<0.01)。また受傷前の移動能力は自宅群に比べ施設群で低値を認め(p<0.01)、退院時では施設群と変更群で低下を認めた(p<0.01)。3)自宅群の屋内と屋外の移動能力は受傷前には差を認めず、退院時で屋外移動に低下を認めた(p<0.01)。4)調整群と調整無し群それぞれの年齢は82.5±7.9歳、72.5±12.2歳(p<0.01)、在院日数は82.6±26.7日、56.1±24.7日(p<0.01)、退院時屋外移動は4.4±2.0点、5.7±1.4点(p<0.05)と全ての項目で差を認めた。合併症は調整群、調整無し群でそれぞれCVA:2名、0名、痴呆:1名、2名、内科:2名、3名、対側大腿骨頚部骨折:2名、0名、無し:3名、13名であった。5)入所先の内訳は理学療法士の在籍する施設は20名、在籍しない施設は15名であった。
【考察】施設入所者は在宅生活者より身体機能の低下は著明だが、十分な機能回復が得られないまま転帰となり、転帰先によっては運動療法が継続困難な患者も多い。転帰先のスタッフと患者を含めた面談をもち、実際の生活環境を想定した介助方法などを指導することが重要であると考える。自宅退院が可能な患者であっても骨折後は移動能力に制限をきたす。本調査では高齢者や合併症を有する患者は入院が長期化する傾向にあったが、これは退院後の生活範囲の拡大と2次障害予防のため訪問指導や介護保険サービスの導入が必要だったことが一因と考える。
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© 2005 日本理学療法士協会
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