理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 762
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骨・関節系理学療法
当センターにおける膝教室の成績
*宮川 博文中田 昌敏藤川 小百合高柳 富士丸丹羽 滋郎
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キーワード: 膝教室, 筋再教育, ニ関節筋
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抄録
【目的】 高齢化が進み、加齢変化に伴う膝痛を訴える者が多くなっている。これに対し如何に膝機能を評価し、運動指導を行なっていくかは我々にとって重要な課題である。当センターでは中高齢者の膝関節機能の改善を目的として2003年より膝教室を開催している。今回、その内容と成績について報告する。
【膝教室】 教室は月1回(90分)6ヶ月間開催し、前半3ヶ月間は1.膝の仕組みと働き、2.膝疾患の概説、3.膝周囲筋の機能についての講義(整形外科医が担当)と膝関節機能評価(理学療法士が担当)を行い、後半3ヶ月間は4.膝屈曲拘縮予防体操(膝屈筋を中心に4種類)、5.膝伸展筋運動を中心に股外転・内転等尺性運動(筋再教育)、6. 膝周辺の筋運動を意識させたウォーキングについての実技指導(理学療法士が担当)を行った。尚、後半3ヶ月間は参加者全員に運動記録表を配布し、実施した運動を毎日記録させ、週単位でチェックを行った。
【対象および方法】 対象は健康づくりのため当センターを利用し、膝教室に参加する女性26名である。その内、教室の後半3ヶ月間の実技指導参加者をランダムに13名選び、これを介入群(63.7±7.9歳)とし、参加しない者13名を非介入群(66.5±4.7歳)とした。教室開始時、介入群は整形外科疾患を有しない者が2名、有する者が11名(変形性膝関節症11名、腰痛症3名、変形性股関節症1名)であり、非介入群は整形外科疾患を有しない者が3名、有する者が10名(変形性膝関節症7名、腰痛症3名、変形性股関節症1名)であった。
 膝関節機能評価は教室開始前後に1.形態、2.膝関節の痛み、3.膝関節可動域、4.等速性膝屈伸筋力、5.歩行能力、6.体力テスト(全身反応時間,閉眼片足立ち時間,長座位体前屈)について検討した。統計処理はt検定を用い、有意水準を5%未満とした。
【結果】 膝教室実施前後において、膝の評価成績は、介入群において有意な改善を認めた。その内容は痛みの軽減、膝関節伸展可動域の増加、等速性膝屈伸筋力の増加、歩行ピッチ増加に伴う全力歩行速度の向上であった。一方、非介入群では調査のいずれの項目においても有意な改善を認めなかった。
【考察】 膝教室の後半3ヶ月間の運動指導により膝関節機能、特に屈曲拘縮の改善、膝屈伸筋力の増加、全力歩行速度の向上などを認めた。これらの結果には,運動の実践以外に運動指導で膝を中心とした筋に大きな負荷を加えず、目的筋を確実に意識して動かす筋再教育を加えた事と,膝屈曲拘縮に関わるハムストリングスと下腿三頭筋の短縮に対して、膝伸展位で行なう従来からのストレッチングではなく、二関節筋の働きを考慮した膝屈曲位で股屈曲、足背屈する手技を用いたことが影響したと考える。
 今後、この介入群の教室終了後6ヶ月の経過追跡を行い、この効果の持続性について検討したい。
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© 2005 日本理学療法士協会
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