抄録
【はじめに】
足関節内反捻挫後の運動療法において、腓骨筋群の筋力強化が重要といわれている。しかし、臨床においては動作時の荷重点位置によって、腓骨筋群の活動が踵骨の内反を誘導する場面が観察される。また、荷重点が小趾側にある場合には、腓骨筋の活動よりもその拮抗筋である内反筋群の活動によって足部が安定することを経験する。そこで今回、内反筋群である長母趾屈筋・長趾屈筋・後脛骨筋の重層部位(以下内反筋群)を対象筋として、ステップ肢位での足底圧分布と筋電図積分値を検討したので報告する。
【方法】
対象は、整形外科、神経学的に問題のない健常者10名を対象とした。まず被検者に直立位を保持させ、筋電計ニューロパックを用いて、双極導出法にて支持側下肢の内反筋群に電極を配置し、筋電図積分値を10秒間3回測定した。次に被検者の10cm前方に高さ15cmの治療台を置き、立位姿勢の状態から反対側下肢(ステップ側下肢)を前方へステップさせ、足尖部が軽く台に触れている状態で保持させた。このステップ肢位を0cmとして内側へ10cmずつ40cmまで変化させた。このときの規定として、足尖部が軽く台に触れている状態で保持させた。またこのとき支持側足底に自作の足底圧分布メーターを設置し、足底圧を内側・外側に分けて測定した。足底圧は、踵骨の中点と第2、3趾間を結ぶ線を中心に内側・外側に分けた。測定中には頭部・体幹・下肢のアライメントを一定にさせるために頭部・体幹・骨盤は回旋運動が起こらないように指示した。支持側下肢については、足部の外転運動や過度な内反運動を行わないように指示し、支持側膝関節は伸展位にさせた。また体幹や頭部などに動揺が起こらないようにし、両上肢は体側に垂らした。なお統計学的処理には分散分析とTurkyの多重比較を用いた。
【結果と考察】
側方へのステップ肢位における支持側下肢における内反筋群の筋電図積分値および足底圧分布を検討した。0cmのステップ肢位と比較して、内側へのステップ距離の増加にしたがって筋電図積分値は増加する傾向を認めた。足底圧分布は、内側へのステップ距離が増加するにつれて外側へ変位した。今回の結果から、足底圧分布が外側へ変位した状態で姿勢を保持する際には、内反筋群の働きが重要であることがわかった。これは、足底圧分布が外側へ変位したことによって下腿に生じた外旋モーメントを制御するための働きであると考えられた。