抄録
【目的】
サッカーはコンタクトプレーのため、外傷と障害を明確に分類するのは困難であるが、障害の原因には天候や季節などの外的環境や連戦による身体的疲労と緊張状態が続くことによる精神的疲労などの内的環境が関係していると思われる。これらと外傷や障害の発生についての関係を明らかにする目的で受傷状況と受傷後の復帰日数を公式戦期間とその前とで比較した。
【方法】
全国大会出場常連校の男子中学サッカー部員32名(3年生14名、2年生18名)を対象に1年間に参加した公式大会を期間別に3つのグループ(秋季公式戦(以下、G1)、春季公式戦(以下、G2)、夏季全国大会(以下、G3))に分類した。そして、グループ間の受傷状況を練習、練習試合、公式戦で比較し、受傷後の復帰日数を1週間以内とそれ以上に分類し、比較した。
【結果】
G1は28日間に5試合、1試合平均5.6日間。G2は49日間に13試合、1試合平均3.77日間。G3は37日間に20試合、1試合平均1.85日間。グループ間の受傷状況で最多であったのは、G3の3年生の大会期における公式戦での外傷6件、次いでG1の2年生の準備期における練習試合での外傷4件、G2の3年生の大会期における練習試合での外傷3件であった。G1とG2の公式戦における受傷はみられなかった。復帰日数では上記期間では、全例1週間以内であった。
【考察・まとめ】
G1からG3にかけて対戦相手の技術や戦術レベルが高度となり、気温もG3が最も高い。さらにG3では公式大会の1試合平均日数2日以内及び夏季開催であるため、外的環境から身体的疲労が受傷数に関係していると考えられる。また、学年要素から3年生にとっての最後の大会であるなどのモチベーションのような精神的要素が選手に作用し、内的環境として影響ていると考えられる。これは、復帰日数が全例1週間以内であることからも考えられる。このことから外傷・障害発生には、外的・内的環境が何らかの要素として関係しているようであり、その予防にはウォーミングアップやクールダウンでのストレッチによる身体面のみではなく、試合日程を考慮した大会運営の両面から見ていく必要性が示唆された。