理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 954
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骨・関節系理学療法
アキレス腱断裂患者のスポーツ活動状況について
―中年層の下腿三頭筋の筋力回復の検討―
*高松 敬三諌武 稔
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抄録
【目的】アキレス腱断裂に対する治療法は観血的及び保存的療法に大別されるが、ギプス固定期間や下腿三頭筋への運動負荷量に関しては、諸家の報告によって異なる。どの段階まで機能が回復したらスポーツ復帰を許可するのか、判断に迷うことも少なくない。そこで今回、下腿三頭筋の筋持久力に着目し、中年層におけるスポーツ活動状況の調査を行ったので報告する。
【対象】対象は、平成15年1月16年9月の期間に当院にてアキレス腱断裂の診断を受け、理学療法を行った6名(男性3名・女性3名)。年齢は41~65歳(平均48.2歳)、受傷原因は急激な踏み込み2例・転落1例・スポーツ3例。尚、治療法は手術療法3例・保存療法3例で、調査時点における対象者の受傷後経過期間は平均12ヶ月である。
【結果】元のスポーツに復帰しているのは1名のみで、残りの5名はアキレス腱への負担が少ないと思われる種目に変更していた。スポーツの開始時期については受傷後6ヶ月~1年と、治療法や年齢・断裂部位によってバラツキがみられた。片脚でのつま先立ち・階段昇降は10週~16週、走行は4ヶ月~5ヶ月で可能となったが、全力疾走やジャンプ動作からの着地に支障を来たしている症例が多かった。
【考察】元のスポーツ活動を再開していない背景には、下腿三頭筋の持久力低下・再断裂に対する不安感が考えられた。青壮年層はスポーツ復帰に対するモチベーションが比較的高く、筋力トレーニングに積極的な傾向にあるが、中年層では日常生活に支障がなければ、それ以上の筋力トレーニングには消極的になることが多い。中年期にアキレス腱断裂を生じても、レクレーションとしてスポーツを楽しむ程度の筋力レベルには回復可能であるが、腱の修復過程に明らかな相違が認められる時には、全力疾走やジャンプからの着地が円滑に出来ない症例が多かった。これらの動作は下腿三頭筋の持久力や柔軟性が必要であり、足底屈角度の変化に対応する下腿三頭筋の筋出力低下が示唆された。又、対象者のうち3名は外反母趾を伴っており、足関節底屈運動の際の足部への力の伝達の遅れや、足関節底屈運動の初期から最終域における筋力の発揮が不十分であったと推測する。外反母趾が生じていると荷重時に後脛骨筋や長腓骨筋の機能低下を引き起こすこともあり、全力疾走やジャンプからの着地時において足部の不安定性を呈していたと思われる。これらの症例がスポーツ復帰する為には、外反母趾患者の運動機能特性に適した運動療法が必要であることが示唆された。
【まとめ】運動習慣の少ない中年層は自分のもつ筋力の範囲内での活動にとどまることがあり、退院後の運動は自己管理となるケースが多い。今後はより木目細かな運動プログラムの作成と定期的な運動指導を推進していくことが、中年層におけるアキレス腱断裂患者のスポーツ復帰に繋がっていくと考える。
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© 2005 日本理学療法士協会
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