理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 983
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骨・関節系理学療法
股関節疾患患者の歩行機能不全に対する筋の質的トレーニングの効果
*加藤 浩奥村 晃司木藤 伸宏
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キーワード: wavelet変換, 表面筋電図, PNF
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抄録

【目的】
 近年我々はwavelet変換(WT)を表面筋電図(EMG)周波数解析に応用し,股関節疾患患者の歩行時立脚期の中殿筋の動的EMG周波数解析と筋生検を同時に行い両者の関係について検討した.その結果,股関節疾患患者においては病期の進行に伴うtype2線維の顕著な萎縮が認められた.さらに動的EMG周波数特性はtype2線維の線維径と深く関連しており,wavelet周波数解析はtype2線維の非侵襲的廃用性筋萎縮評価に有効である結論を得た.そこで本研究ではtype2線維を支配する運動単位の活動性の改善を目指し,股関節疾患患者で跛行を呈する患者を対象に固有受容器性神経筋促通手技(PNF)を用いて下肢筋群の運動を施行し,その効果をEMGの量的・質的側面から検討することである.
【対象と方法】
 対象は股関節疾患患者17症例21関節であった.被検者には本研究の目的を十分説明し同意を得て行った.まず,徒手抵抗を用いた股関節前額面での等張性収縮運動施行者10症例(従来群)とPNFを用いた下肢の伸展-外転-内旋パターンの運動施行者12症例(PNF群)の2群に分け運動時間は各15分間とした.そして運動前後における等尺性最大外転筋力(最大筋力)と静的・動的EMGを計測した.電極貼付部位は患肢の中殿筋,大腿筋膜張筋,そして大殿筋上部線維とした.<最大筋力の測定>背臥位で最大等尺性収縮を3秒間持続させた時の筋力を測定した.<静的EMGの計測>最大筋力発揮時の筋活動を,EMG測定装置Telemyo2400Tを用いてサンプリング周波数3kHzで計測し,2秒間の筋電積分値(IEMG)と平均周波数(MPF)を算出(IEMGは単位時間当たりに換算)した.MPFの算出には信号解析ソフトのMATLABを用いて,連続WTによる時間周波数解析を行った.<動的EMGの計測>踵部にフットスイッチセンサーを貼付し,10 m自由歩行を行わせ,各被検者の歩行周期時間を100 %に換算した.量的評価として,踵接地から踵離地までのIEMGを算出し,単位時間当たりのIEMGに換算した.質的評価として,踵接地から歩行周期20%までの時間のMPFを算出した.
【結果】
 <最大筋力>運動前後における最大外転筋力の増加率は,PNF群が従来群に比べ有意に高値を示した.<静的筋活動>運動前後におけるPNF群の大殿筋のIEMGと中殿筋のMPFの増加率は,従来群に比べ有意(p<0.05)に高値を示した.<動的筋活動>運動前後におけるPNF群の大殿筋,中殿筋のIEMGの増加率は,従来群に比べ有意(p<0.05)に高値を示した.
【考察と結語】
 PNFは対角線上で3次元の運動要素から構成される運動のため周囲の関連した筋群との協調した収縮効果が期待できる,また個々の筋に対しては大脳皮質の興奮性が高まり,収縮に参加する運動単位の増加と発火頻度の上昇が起き,より多くのtype2線維の筋活動への参加が期待できるため筋の質的トレーニングとして有効と考える.

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© 2005 日本理学療法士協会
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