抄録
【はじめに】今回肺葉切除術後外来にて呼吸リハビリテーション(以下、呼吸リハ)を継続していたものの呼吸困難の増強により再入院となった症例に対し、教育目的の呼吸リハを中心に行ったところ症状の改善と在宅での活動量の改善を認めた。本症例における教育入院の効果について検討したい。
【症例・経過】69歳・男性。診断名:原発性肺癌・COPD、既往歴:なし。術前肺機能検査は%肺活量83.0%、1秒率66.0%であった。現病歴:H16年6月8日右側方開胸上中葉切除。術後エアーリークを認め翌日肺縫縮術を行い一時人工呼吸管理となる。6月15日PT開始。安静時血ガス値は特に問題なかったが6MDは180m、酸素飽和度の低下を認めたため在宅酸素療法導入され6月24日退院となる。退院時の%肺活量は60.6%、1秒率77.2%であった。ホームプログラムの指導とともに外来にて週2回呼吸リハを継続するも家での活動性は低く、呼吸困難を訴え定期以外にも外来受診を繰り返していた。7月20日呼吸困難に対する精査と呼吸リハ目的にて再入院となる。再入院時の肺機能検査では%肺活量56.9%、1秒率66.7%と前回退院時より若干低下を示していたが、胸郭の可動性6MDには著明な変化は認められなかった。主訴は動作時の呼吸困難と右胸の痛みであり「息苦しくて死んでしまうのではないか」といった不安を強く訴えていた。SF-36によるQOLの評価では118点と著しく低い値を示しており、特に精神的健康度が27点と低下していた。内科的検索にて特に新たな問題はなく、術側肺の癒着や筋の硬さによる疼痛が不安感と相乗し、呼吸困難・活動性の低下による運動耐容能の低下を招く悪循環に陥っているものと考えられたため、疼痛に対し温熱療法やストレッチを行うとともに、教育目的の呼吸リハ(酸素療法の目的や方法、ADLやホームプログラムの再指導など)をCOPDの教育入院のパスを一部改変しながら行った。約2週間後の退院時には、肺機能や胸郭の拡張性には改善は認められなかったものの、6MDは320m、QOLは575点と改善を認めた。退院後は外来呼吸リハを週1回継続しているが、ホームプログラムが継続され、徐々に活動性も改善されおり、呼吸困難にて受診することなく経過している。
【考察】肺腫瘍に対する肺葉切除術では肺活量が低下すると共に、特に残存肺に問題のある場合や容量が少ない場合などには労作時の息切れなど運動耐容能の低下によるADL障害を呈する場合が多い。今回肺葉切除術後に呼吸困難の増強により再入院となった症例に対し、教育入院による呼吸リハを行い、QOL、運動耐容能の改善が得られた。症例の経過から教育入院の効果について検討したい。